独立直後に損害賠償、酔った客が店内破壊…… 小さな「立ち飲み」業態で上場した社長が語る“平たんではない”道のり(3/5 ページ)

» 2024年03月25日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

焼肉店のオーナーからヘッドハンティング

 ある日、老舗焼肉店のオーナーがお店を訪れ「ぜひうちの店で店長をやってくれないか?」とオファーをしました。オーナーはインド料理店でのランチバイキングをヒットさせた大谷社長の特集記事を見たのです。大谷社長は人生で二度目のヘッドハンティングを経験することになります。

 「自分としてもインド料理店での成功体験があったので、飲食業界でもっと自分の可能性を試してみたいという思いが強くなっていました。そんな中で、ご縁があり老舗焼肉店で店長として働かせていただくことになりました。

 焼肉店で働いていた中で一番楽しかったのが、オーナーと一緒に肉の仕入れで食肉市場やと畜場に同行させてもらったことです。それまで食肉流通について全く知らなかった私にとって、食肉市場やと畜場での経験は全てが目新しく “もっと食肉のことを詳しく知りたい!”と思うようになり、いつしか牛の生産農家さんの元に通い、牛の血統や飼料についても勉強をするようになりました。

 その中でも私が特に興味を持ったのが“ホルモン”です。それまで私はあまり鮮度の良いホルモンを食べたことがなかったのですが、食肉市場やと畜場で見たホルモンの鮮度は最高でした。その新鮮なホルモンを一口食べた瞬間、あまりにおいしくて自分の中に衝撃が走ったことを今でも覚えています」

「立呑み焼きとん大黒」のホルモンミックス

 大谷社長は牛の生産農家の元に何度も通い、直接牛の肥育へのこだわりなどを聞いているうちに「生産農家の方々が手塩にかけて育てた牛の素晴らしいホルモンを、もっと多くの人に味わってもらいたい!」という思いが大きくなっていきます。そして27歳になったある日、ついに自身でホルモンの串焼きを主体としたお店をオープンすることを決意します。

ればテキ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.