独立直後に損害賠償、酔った客が店内破壊…… 小さな「立ち飲み」業態で上場した社長が語る“平たんではない”道のり(4/5 ページ)

» 2024年03月25日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

反対の声がほとんどでも立ち飲み業態にこだわった

 独立した大谷社長が選んだのが、ホルモン串焼きの立ち飲み業態でした。当時、東京では昔ながらの立ち飲み業態を現代風にアレンジした、今で言うところの「ネオ立ち飲み居酒屋」がブームになりかけていました。ただ名古屋には立ち飲みのお店はまだほとんどない状況であり、飲食店経営者の先輩に相談をしても「名古屋では立ち飲み居酒屋は絶対に流行らないからやめておけ!」「そんな業態で独立開業するのは自殺行為だ!」と反対されたそうです。

現在の「立呑み焼きとん大黒」

 「相談した人、ほぼ全員から猛反対をされました。ただ自分としては、牛の生産農家の方々から教えていただいたホルモンの素晴らしさ、そのストーリーを伝えるためには絶対にお客さまとの距離感が近い“立ち飲み居酒屋”しかないという強い思いがあったため、多くの人の反対を押し切って立ち飲み居酒屋をオープンすることにしました。

 ちょうど名古屋の繁華街である栄に10坪のお店を見つけ、そこで開業することを決意しました。銀行融資や知人からの借入などでなんとか1500万円を調達したのですが、お店の内装や設備の権利譲渡で600万円もかかってしまいました。残金は900万円程度しかなく、自らノコギリでカウンターを切って施工をしたりと、一部の工事は自分でやる羽目になりました」

 夢が詰まった初めての「自分の城」の開業に向けて準備を進める中、開業が危ぶまれる大きなトラブルが発生します。

現在の「立呑み焼きとん大黒」

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