中堅企業が抱く人材育成の課題 「テクノロジー人材の不足」「定着率の低さ」を抑えた1位は?700人に聞いた

» 2024年03月25日 08時00分 公開
[サトウナナミITmedia]

 中小企業の約4割が、材育成における体制構築の時間が足りず、人材戦略を立てられないなどの課題感を抱いていることが人材コンサルティングのエフェクト(東京都中央区)の調査で分かった。中堅企業の人事担当者はどのような課題感を抱いているのか。 

photo 中堅企業の人事が抱える人的資本経営に関する課題(ゲッティイメージズ)

 調査は、中堅企業の経営者と人事担当者701人から回答を得た。

 人材戦略として適切な人材育成体制が「構築できている」としたのは58.5%。41.5%が「できていない」と答えた。

人材育成の課題は?

 「構築できている」と答えた企業はどのような取り組みを行っているのか。「経営戦略に基づいて、人材育成計画に反映させている」が最多の67.2%。次に「中長期計画を立案して、軌道修正しながら進めている」(59.5%)、「階層別教育に経営戦略を取り入れている」(39.0%)と続いた。

 一方で「構築できていない」とした企業の理由は「人事担当者として、育成体制の構築に対する時間が足りない」が最多で50.9%に上った。以降は「適切な人材戦略の構築方法が分からない(ノウハウ不足)」(46.7%)、「経営戦略ではなく、既存の階層別教育を展開している」(38.5%)と続いた。

photo 人材育成体制の構築における具体的な取り組み、人材育成体制の構築ができていない理由(エフェクト調べ)

 社員のキャリアプランや人材育成の進捗の確認方法として、最も多い回答は「定期的な面談を実施」で67.5%。「人事システムなどの記入などの自己申告」(54.9%)が続き、「把握できていない」は11.3%だった。

photo 社員のキャリアプランや人材育成の進捗の確認方法(エフェクト調べ)

 人材戦略の課題では「適切な人材の採用が難しい」が最も多く57.6%。その他「定着率が低い」(38.8%)、「AIなどのテクノロジーに対応できる人材育成」(35.7%)が上位となった。

 課題の要因は「人事部門の能力やリソース不足」が最多で41.5%を占めた。次に「労務業務の業務過多であり、人材育成に対する時間不足である」(32.8%)、「経営幹部とのすり合わせが不足している」(17.5%)と続いた。

photo 人材戦略の課題とその要因(エフェクト調べ)

 人材戦略の構築に向けた改善策は「人事戦略と組織戦略の一体化と連携の強化」が最も多く、42.9%だった。以降は「上層部とのコミュニケーションの強化とビジョンの共有」(39.2%)、「人事部門の能力やリソースの強化と投資」(38.8%)となった。

 人材戦略の改善策を実行する上で難しい点は「各社員のキャリアプランに応じた育成のカスタマイズができていない」が53.2%。次に「一時的な効果はあるが、持続できる仕組みができていない」(43.7%)、「経営戦略と人材戦略の連携ができていない」(34.2%)となった。

photo 人材戦略の構築に向けての改善策、改善策を実行するにあたり難しいと感じる点(エフェクト調べ)

 調査は2月27〜28日にインターネットで実施。中堅企業の経営者および人事担当者701人から回答を得た。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.