カフェのバランスシートはどうなっているの? 小さな店が売り上げを確保する方法「ワイヤードカフェ原宿」からスタート(4/4 ページ)

» 2024年03月28日 08時30分 公開
[入川ひでとITmedia]
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機能とデザインのバランスが重要

カフェが街をつくる。そして、社会をつくる。』(入川ひでと、クロスメディア・パブリッシング(インプレス))

 例えば、椅子にフォーカスしてみると、30代で注文住宅をつくる仕事をする前から、僕には椅子になんとなく好き嫌いがありました。あとでいろいろなデザインやインテリアの本を読んでみたら、僕たちのカフェにマッチする椅子のほとんどが、ミッドセンチュリーのものでした。

 ミッドセンチュリーとは、1950年代後半から70年代初めに生まれた、機能性とデザイン性を追求したスタイルです。例えば、イームズのDCW、DKR、ラウンジチェア、サーリネンのチューリップチェア、ウームチェア、ベルトイアのダイヤモンドチェア、プラットナーのポロック・チェア。あとは、バウハウスの流れを組んだデンマークのヤコブセンのアントチェア、セブンチェア、スワンチェアなどです。

 ミッドセンチュリーは、大量生産に通じる普遍的なデザインを持っています。それ以降のいわゆるポストモダンの製品は、デザインに傾きすぎて機能性を軽んじてしまったように感じます。しかし逆に、機能性だけを追求して、デザイン性を無視する製品でもダメなのです。大切なのは、毎日使っても飽きがこないデザインと、使い勝手のよさを持っているかどうかということです。

 ミッドセンチュリーのデザインと機能性が合わさった製品は、僕たちのカフェが求めている「毎日でも行きたくなるなじみのカフェ」を象徴するものともいえるのです。

 カフェのインテリアの話に戻りますが、例えば椅子はそうした機能とデザインが両立したものが求められます。繰り返し使うものですから、壊れにくく、重すぎないという機能は必須です。目立ちすぎても困ります。テーブルや照明、内装も同じように、機能美とデザインが両立したものを集めて、心地よさや馴染みやすさを考えているのです。

この記事は、,『カフェが街をつくる。そして、社会をつくる。』(入川ひでと、クロスメディア・パブリッシング(インプレス))に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。


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