入川スタイル&ホールディングス 代表取締役社長兼CEO
東急沿線成長戦略、京王電鉄多摩センターエリアブランディング、UNIQLO原宿UT店舗プロデュース、六本木ヒルズTSUTAYA ROPPONGI店舗プロデュース。事業創造においては、カフェカンパニー、ダブリュースカンパニーなど「カフェが街をつくる」をコンセプトに日本全国の地域コミュニティを再生する事業を展開。神奈川県/大磯町、奈良県/東吉野、島根県/浜田市、兵庫県/神戸市などでのコミュニティ再生をカフェなどの開発を通して実践している。
青山学院大学、東京経済大学、東京都立大学などで長期講座を持つ。テーマは「カフェを通した地域コミュニティの再生」。「東北震災復興リーダー支援プロジェクト」、「東北起業家育成・事業構想支援プログラム」などのメンターを長期に渡り実装。
僕は「ワイヤードカフェ原宿」という10坪15席という小さなカフェづくりからスタートしました。
カフェといってもさまざまな店があります。レストランと違って何を出してもいいし、営業時間もバラバラで、ルールみたいなものはありません。それゆえ、いろいろと個性豊かなカフェが誕生しています。
僕のつくってきた店にも、同じ店はありません。人を読み、街を読み、そこからコンセプトをつくるという作業は共通していますが、完成するお店はさまざまです。
大切なのは、出店するエリアの人たちを徹底的に観察して、彼らが必要とするお店をつくること。立地はもちろん、ターゲットのお客さんに合わせて、メニューをつくり、デザインをして、営業時間を決めます。さらに彼らが必要とする機能を提供します。そのことによって、ひとりのお客さんが1日に2回も来てしまうような使い勝手のいいお店になれるのです。
では、カフェのバランスシートについてご説明しましょう。飲食業界ではよく「FL値」というものが使われます。Fは材料費、Lは人件費を意味し、{F(材料費)+L(人件費)}÷売上高=FL比率です。
この値は、利益を左右する重要な指標で、FL比率が55%前後で上下するのが一般的と言われています。
これ以外に、賃料10%、初期投資の償却が10%、その他の経費10%を足して、粗利益が15%なら合格です。しかし、小規模な店が年間を通じてコンスタントに利益を出し、運営を安定させていくのは、ハードルが高いことといえます。
外食産業の年間売り上げ約23兆円のうち、17兆円を占める小規模事業者ですが、なかなか小規模で続く店、成功する店は少ないのが現状です。このFL値をベースに考えると、普通はワイヤードカフェ原宿のような10坪の小さな店では、経営が成り立たないことになります。
では、僕たちのような小規模店舗がどうやって売り上げを確保してきたのか。
僕たちが開発する場合は、通常の飲食での売り上げを50%から60%を想定します。そして、飲食以外の40〜50%を、半分は企業関連からのリアルマーケティングの売り上げで、残りの半分はプロモーションやイベントの売り上げで運営するようにしています。
そのためには、お客さまを待っていてはいけません。出店前から、じっくりと街を観察します。どんなプロフィールの、どんなライフスタイルの人がいるのか。そのライフスタイルに合ったカフェとはどんなものか。1週間に何回くらい来てもらえるのか、あるいは1日に2回来てもらえるのか? と考えながら店づくりをするのです。
例えば、店前通行量が多い一等地で、1日1000人の人が店の前を通るとします。20%の200人にコーヒーを売って売り上げをつくると考えるのではなく、ターゲットとなるこんな人が100人いるエリアだから、1日2回来てもらって200人の売り上げをつくる、と考えるのです。
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