では、何が問題だったのか、そして公益通報で保護されるはずの元従業員はなぜ刑事告訴されてしまったのか。報道当初にネット上でよく見られた誤解を解きながら解説していこう。
内部告発した元従業員を威力業務妨害で訴えたのは「大阪王将」ではなく、「大阪王将 仙台中田店」をフランチャイジーとして経営していた宮城県仙台市の「ファイブエム商事」である。
退職者であっても、退職後1年以内に公益通報すれば、その後は無期限に保護される決まりがあるので、退職者かどうかは無関係である。
確かに投稿写真にナメクジは1匹写っていたが、「大量にいる」として情報を拡散した点が「人を欺く行為」に当たると判断されたものとみられる。
元従業員の告発は「善意」や「正義感」によるものではなく「店側とトラブルを抱えていたゆえの腹いせ」であり、実態としては「誹謗中傷」に当たると判断されているようだ。
しかも、店側は休業からのフランチャイズ契約解除、閉店までを余儀なくされており、実際の金銭的被害も出ている以上、相当悪質なものと扱われることになるだろう。
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大阪王将「ナメクジ」事件、告発者はなぜ逮捕されるのか? 内部通報“後進国”ニッポンを考えるCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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