自分の会社で違法なことが行なわれている。もしあなたがそうした事実を知ったとき、どうするでしょうか。違法行為は通報すべきですが、それが原因で自分が解雇されるかも……と考えると通報を躊躇(ちゅうちょ)するかもしれません。そんなときに内部通報者を守るのが「公益通報者保護法」です。
2022年6月に施行された改正法では、中小企業に対しても内部通報への適切な対応を求めています。ここでは「改正公益通報者保護法」の内容と中小企業の対応ポイントを、どこよりも分かりやすくレクチャーします。
22年6月1日から「改正公益通報者保護法(改正法)」がスタートしました。「うちは中小企業なので公益通報なんて関係ない」などと思わないでください。この法律は、多くの会社に存在する「通報窓口」に関係しています。しかも、今回の改正によって、中小企業であっても一定の義務が課されるようになったのです。
そもそも、公益通報者保護法とはどんな法律なのかについて、お話ししておきましょう。
00年代に入り、食品の表示偽装、機械の性能偽装、車のリコール隠しなどの企業の不祥事が続発するという問題が生じました。これらの不祥事の多くは、企業自らが公開したのではなく、内部の労働者の内部告発(内部通報)をきっかけとして明るみに出ました。
このような不祥事が表面化し改善されたことにより、結果的に多くの一般消費者の生命、身体、財産などが守られました。
しかし、不祥事が発覚すると損害賠償やリコールなどの莫大な損失が生じることになるため、企業としては不祥事隠しに走ることになります。そのような企業の意向に反して、労働者が不祥事を内部通報することは通常困難です。
内部通報を行ったことによって、上司や同僚からにらまれ、爪はじきにあい、最終的には退職せざるを得なくなる可能性もあるからです。
ただ、企業の不祥事を表面化し改善することで、一般消費者の利益を守る必要性があるのも事実です。また、早期に不祥事が明るみに出ることは、必ずしも企業にとって不利益となるものではありません。根深い所まで不祥事がはびこった後に発覚することになれば、企業は倒産の危機に瀕するかもしれないからです。
不祥事が早期に明るみに出ることで、企業が受ける損失や信用失墜を最小限に抑えることができます。
このようなことに配慮して、内部通報を行った労働者を保護(解雇や不利益扱いの禁止)するとともに、通報体制を企業に整備させることにより、企業の自浄作用を強化する目的で制定された法律が、公益通報者保護法なのです。
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