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Q: これまで毎月の給与処理で残業代の計算をする場合、残業時間を15分単位で集計しており、15分未満の時間は切り捨てて運用していたのですが、従業員からその集計方法は違法ではないかとの指摘がありました。法的に問題があるのでしょうか。
A: 1日における労働時間の集計は1分単位が原則です。いわゆる15分単位の丸め処理は、賃金の未払いが発生している恐れがあります。例外として、1カ月における残業時間について30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げとすることは行政通達上認められています。
労働基準法は、原則として1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはいけないと定めています。この基準を超える労働については残業時間として取り扱われることになり、割増賃金の支払いが必要になります。この残業時間のカウントについて、今回の事例ではいわゆる“丸め処理”をしているようです。
丸め処理とは、一定の時間単位を基準として、それに満たない勤務時間を切り上げ・切り捨て処理することを言います。例えば、15分単位で丸め処理をする場合、始業開始時間が10時50分の場合には11時00分からの勤務となり、勤務終了時間が19時25分であっても19時15分までの勤務であったということになります。
従業員の勤務時間は、タイムカードやICカードを用いて出社時間や退社時間を管理している企業が多いですが、日ごとの残業時間の集計は本来1分単位で行う必要があります。15分単位での丸め処理を行っている場合には本来支払わなければならない給与が未払いとなっているため、労働基準法に違反することになります。
例外として、行政通達(S63.3.14基発第150号)では割増賃金の計算時における労働時間の端数処理として「1カ月における時間外労働、休日労働および深夜労働のおのおのの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」が認められています。
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