行政通達では残業時間の端数処理についての取り扱いを定めていますが、実務上時給者の労働時間のカウントにおいても同じ取り扱いをしておく必要があります。アルバイト従業員は一般的に時給者であることが多いため、タイムカードやICカードを用いて出社時間と退社時間のほか休憩時間をカウントしたうえで、1時間あたりの時給単価を乗じて対象となる計算期間における給与額を算出することになります。
アルバイト従業員を多く抱える企業などでは毎月の給与計算処理の工数を減らすため、日ごとの労働時間の端数を丸め処理しているところも見受けられます。前述した通り、日ごとの丸め処理は労働基準法上認められていませんので、仮にそのような取り扱いをしている企業については早急に改善が必要です。
なお、これまでに15分単位で丸め処理を行っていた過去の期間における未払い分の残業代については、従業員によって未払い賃金として請求される事も想定されます。2020年4月以降に発生した賃金請求権の消滅時効は3年となりましたので、正しい計算方法で再計算した残業代を支給する必要があるでしょう。
その際、過去の給与にさかのぼり各月の給与を修正する方法や一時金で支払うなどの方法が考えられますが、いずれの方法についても雇用保険料の修正や所得税の再計算、または賞与処理が必要になりますので、事務担当者の負担も考慮して方針を決定することをおすすめします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング