リニアの令和9年開業「困難→断念」 経済効果の影響は?「静岡」着工見通せず(1/2 ページ)

» 2024年03月30日 07時30分 公開
[産経新聞]
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 JR東海がリニア中央新幹線の品川−名古屋間について、令和9年の開業目標を断念した。静岡県の反対で静岡工区の着工のめどが立たず、新たな開業時期も示せていない。リニア開業に合わせて進められている沿線の自治体の街づくりに影響が出るのは必至で、10兆円超と推計される経済効果の損失も懸念される。

「静岡」着工見通せず

 「9年の開業は実現できない」。JR東海はこれまでも「9年の開業は困難」と言い続けてきたが、今回表現を変えた。昨年12月に否定していた「断念」という言葉も否定しなかった。

photo JR東海の丹羽俊介社長

 もともと、工事は平成29年11月に着手し、10年1カ月後の令和9年12月の開業を目指していた。だが、川勝平太静岡県知事が着工に反対。9年開業が間に合うギリギリのタイミングだった2年6月にも知事の了承を得られず、そもそも9年開業は困難だった。

 今回、表現を変えたのは当初計画から6年4カ月たっても着工できず、計画との乖離(かいり)が今後挽回できないほど、大きく開いたからだ。国土交通省での有識者会議後の会見では、最短の開業時期が10年後の16年になるかを記者に再三問われたが、「今の段階では言えない」(水野孝則専務執行役員)と繰り返した。

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