組織で仕事をしていくうえで、部下を叱ることも時には必要となる。日々多忙な中でうっかりミスを起こしてしまった部下に対しては、ついつい感情的に怒ってしまう方も多いのではないだろうか。
ご存じの通り「叱る」のは理性に基づく行為だ。一方「怒る」のは感情に任せた行為である。当然、相手の素直な反省を引き出す効果は「叱る」のほうにあるはずだが、分かっていながらつい感情的になってしまう場合、どうすればよいのだろうか。
仮にあなたが部下に怒りの感情を抱いた場合「なぜ怒りを感じたのか」をさかのぼって考えることが有効だ。
例えば、部下があなたから見たら無茶としか思えない提案をした場合、「そんなことで本当にうまくいくと思っているのか!?」と怒りを感じてしまうかもしれない。しかし、それではいきなり怒られた部下は萎縮してしまうだろう。
そのように厳しい言葉を投げかける前に考えるべきは「最初から『うまくいくはずがない』と思っている」感情はどこからきているのか、という点だ。
おそらく「この部下にできるかどうか心配だ」「もっと他のやり方はないのだろうか」「失敗したらオレはどうなる。実に不安だ」など、さまざまな感情が原因になっているはずだ。逆に言えば「うまくいくという根拠があれば安心できる」ことになる。
その場合は「そんなことでうまくいくと思っているのか」と一喝する前に「これでうまくいくと考えられる根拠を教えてほしい」と伝えるべきであろう。そうすれば部下からも「実はこんな考えがありまして……」といった形で対話が生まれる。もし本当に考えが浅かった場合でも、あなたから「じゃあ、どうすればうまくいくか考えてみよう」と助け船を出すこともできるだろう。
部下の考えや行動を指摘する際に有効なのは、このような「共に取り組む姿勢」である。仮に部下の考えが浅かったとしても、
といったような、突き放すようなスタンスは望ましくない。
というような、「共に考え、行動を促す」スタンスなら、相手のやる気に加えて一体感まで醸成できる効果が見込めるはずだ。
注意や指導をする際には「自分がされたらどう感じるか?」という観点で、普段から省みておきたいところだ。
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