受験生と歩んだ70年、あの「赤本」が全面刷新 理由は?(1/3 ページ)

» 2024年04月11日 08時33分 公開
[産経新聞]
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 受験生のバイブルと呼ばれる通称「赤本」が創刊70年を迎え、発行する世界思想社教学社(京都市)がリニューアルした令和7(2025)年版の新デザイン案を公開した。5月に刊行される。同社によると、発売当初は青色や黄色もあったが、「赤色が定着してからは最大のデザイン変更になる」という。なぜ今、赤本を変えるのか。そのねらいを上原寿明社長(68)に尋ねた。

「障壁」のイメージ

 リニューアルされた表紙デザインは、メインカラーの赤色はそのままに、帯の部分などにパステルカラーを織り交ぜた柔らかい配色。大学名は書体に余白を感じさせる少し細いものになった。従来は幾何学模様だったが、直線的なデザインから曲線を多用したものに変わった。

photo リニューアルする「赤本」のデザイン見本を手にする世界思想社教学社の上原寿明社長。手前は新旧の「赤本」でかつては赤色ではないものもあった=京都市左京区(渡辺恭晃撮影)

 リニューアルのきっかけは、「受験生にとってみれば、赤本は乗り越えなくてはならない障壁のようなイメージを持たれていますよ」という若手社員の一言だった。

photo 丸みを帯びたデザインに刷新された最新版の赤本(世界思想社教学社提供)

 「えっ、そうなのか」。長年にわたり、受験戦争を共に闘う相棒のようなつもりで出版してきたという上原社長にとっては衝撃だったという。

 刷新のねらいについて上原社長は「真面目で硬い、厳しいといったイメージを払拭し、親しみのあるソフトなものにしたかった」と語る。編集部マネージャーの中本多恵さん(40)も「受験生に寄り添い、サポートする存在だと思ってもらいたい」と期待する。

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