中国系企業が日本の“再エネビジネス”に食い込む 「透かし騒動」から見る実態世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2024年04月12日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

中国企業から狙われる「買取制度」

 日本のエネルギー分野が中国企業に狙われるようになった要因の一つは、何と言ってもFIT制度だ。FIT制度は12年に始まったもので、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」と呼ばれる。太陽光などで発電すれば、政府が定めた価格で一定の期間にわたって電気を買い取ってくれる。

 この政府による買取費用の一部は国民が負担している。毎月の電気料金に含まれる「再エネ賦課金」がそれだ。多くの人が自覚のないまま徴収されているのである。

 同じような買取制度は海外にもあるが、日本政府の電力買取価格があまりにも破格で、国際標準と比べると2倍ほどになるとも言われている。そもそも日本における太陽光発電は、参入障壁も低いと認識されており、そこに目を付けたのが中国の企業だ。たくましいと言うかなんと言うか、とにかく金もうけには貪欲だと言っていいだろう。

中国企業は日本の制度を利用してエネルギービジネスに参入(画像提供:ゲッティイメージズ)

 資源エネルギー庁の幹部が言うには「23年までに、この買取制度で認定された関連企業は小規模なものも含めて42万社ほどだが、そのうち中国国籍の人や日本国籍を取得した中国人、さらに中国企業などが出資していると見られる企業が関与している数は、日本の各地で1500件にも上る」

 その中国企業のうち9割以上は、太陽光発電の事業を行っている。太陽光パネル製造の世界的なシェアが高い中国は、日本でのFITで容赦なく太陽光発電に食い込んできている。中国にしてみれば、中国製の太陽光パネルを各地に大量に設置すれば、設置企業はFITでもうかり、さらにパネルを製造して輸出する中国企業ももうかる。

 ある日本の公安関係者は「FITに認定されている中国関係者の中には、中国共産党とのつながりがうかがわれる在日中国人が経営している企業も少なくない。しかも、一事業者が100件以上の認定を受けているケースもある」と指摘する。かなりの金額を稼いでいる、ある在日中国人が中国の電力企業の元幹部だったケースもあり、中国企業などとのパイプも太い。

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