パチンコだけじゃない! 業界大手マルハンが仕掛ける、次の「意外なドル箱ビジネス」とは?長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)

» 2024年04月19日 09時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 パチンコホール最大手のマルハン(本社・京都市、東京都千代田区)の北日本カンパニーが、パチンコに並ぶ第2の柱の構築を急いでいる。特に注力しているのが、富裕層向けの観光事業と、観光に欠かせない飲食業である。

パチンコ事業以外の「柱」に注力している(著者撮影)

 具体的には、2012年に経営破綻した会員制ゴルフ場の太平洋クラブを、北日本カンパニー社長である韓俊氏が13年から陣頭指揮を執り、17のコースが全て黒字になる再建を果たした。

太平洋クラブ御殿場コース(出所:プレスリリース)

 21年には、日本とフランスで、ミシュラン星付きのフレンチやイタリアンのレストランを含めて経営してきた実績のある外食企業・ひらまつにも出資。コロナ禍で悪化した経営に救いの手を差し伸べた。同じマルハングループである東日本カンパニーの韓裕社長と韓俊氏が設立した投資ファンド・マルハン太平洋クラブインベストメントが、ひらまつの筆頭株主になり、36.2%(23年9月末時点)を保有している。

 そして、23年12月、北日本カンパニーは子会社のKITAI resortを通じて、外食企業のMUGEN(ムゲン、本社・東京都目黒区)と株式譲渡契約を締結。株式の80%を取得した。MUGENは中目黒エリアにある「天婦羅 みやしろ」が、『ミシュランガイド東京』にて5年連続の1つ星を獲得中。その他に大衆的な業態も展開している。

ひらまつ経営のホテル、THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田(同前)

 MUGEN代表の内山正宏氏は「市場で買い手がつきにくい海産物をおいしく世の中に還元する」をコンセプトにした「もったいないプロジェクト」を推進。14年には、丸の内の新東京ビルに築地(現・豊洲)の仲卸・山治の協力を得て、「築地もったいないプロジェクト 魚治」という、SDGsを先取りした店もオープンした。

 19年には、若手寿司職人の修業の場として、高級寿司ではあるが通常の半額程度の価格で提供する「鮨おにかい」というユニークな寿司店をオープン。職人として十分に育った際には卒業してもらい、新たな店をつくって大将として腕を振るってもらうという育成システムで注目を集めた。

 このような外食に新風を吹き込む取り組みにより、内山氏は外食産業記者会の「外食アワード」を22年に受賞している。

 なお、マルハンは21年4月1日より、社内カンパニー制を導入。北日本カンパニーは、北海道、東北、新潟県、北陸、東海3県を管轄。東日本カンパニーは、関東、山梨県、長野県、静岡県を管轄。他に、関西以西を管轄する西日本カンパニー、金融サービスを事業とする金融カンパニー、本社管理部門機能の一部を担当するグループユニットがある。

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