パチンコだけじゃない! 業界大手マルハンが仕掛ける、次の「意外なドル箱ビジネス」とは?長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2024年04月19日 09時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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宿泊施設も好調 海外需要を取り込めるか

 マルハンが第2の柱と考えているのは、富裕層に向けた観光事業だ。再生を果たした、太平洋クラブのようなゴルフ事業もその中に入るだろう。宿泊施設も、既に山梨県甲州市に温泉旅館「笛吹川温泉 坐忘」をオープン。現存する日本最古のワイナリーとされる「まるき葡萄酒」のワインと日本料理のマリアージュを楽しめるなど、山梨の風土を生かしたおもてなしで人気となっている。

マルハン北日本カンパニーが運営する笛吹川温泉 坐忘(出所:同社公式Webサイト)

 高級な宿泊施設に、高級な飲食店は欠かせない。MUGENには、それぞれの分野に特化した大将や職人たちがやりがいを持ちつつ、束ねるノウハウがあり、マルハン北日本カンパニーにとって頼もしいところだ。なかめのてっぺんのような和の居酒屋に加え、寿司やラーメンは訪日外国人に人気があり、大いにチャンスがある。海外展開も視野に入れている。

 マルハン北日本カンパニーとしてみれば、MUGENをグループに引き入れたことにより、ミシュランレベルの料理はもちろん、幅広い食体験を提供できる体制を整えたといえるだろう。

軽井沢 御代田のフランス料理店、ル・グラン・リス(出所:プレスリリース)

 日本政府観光局によれば、2月の訪日外客数は、278万8000人となり、同月として過去最高となった。1月も、過去最高だった19年とほぼ同等の268万8100人が日本を訪れている。この勢いだと、年間最高だった19年の3188万人に迫るか、それ以上の外国人の訪日が見込まれる。

ボウリング場も運営している(出所:アピエ公式Webサイト)

 さらに、日本は海外の各種調査で「訪問したい国」の最上位ランクに位置しており、円安の後押しもあって、訪日観光の勢いは止まりそうもない。訪日外国人は日本での食事に期待しており、マルハンは関係会社のひらまつに続いてMUGENがグループ入りしたことで、料理を売りとしたリゾート開発がぐっと具体性を帯びてきた。他にも高級業態として中国料理の新規出店も計画中で、発表が待たれるところだ。今後は、マルハン北日本カンパニー自らホテルや旅館を建てるだけでなく、ホテルや旅館のM&Aも加速していくだろう。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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