1990年代には30兆円産業といわれたパチンコ業界だが、近年は全般に苦戦している。ギャンブル依存症の抑止のために、射幸心を煽らないよう、規制も強化されている。パチンコホールは、最新の機器へと入れ替える設備投資の負担も大きい。そうした構造的な問題に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くのパチンコホールが休業を余儀なくされるなど、客足に大きく響いた。
少子化により、将来的な遊技人口の減少も見込まれている。帝国データバンクの調べによれば、コロナ前の19年には約16兆5000億円あったパチンコ業界の市場規模が、22年には約11兆4000億円にまで縮小。運営会社の数も、19年の約2000社から、22年には約1500社にまで減少した。
このような環境において最大手であるマルハンの動向は常に注目されている。
マルハンの歴史を紐解くと、1957年に京都府峰山町(現・京丹後市)で名曲喫茶「るーちぇ」をオープンしたのが始まりで、祖業は飲食業である。60年代にはボウリング場にも進出し、元々総合エンターテイメント事業を志向していたともいえる。2000年、東京・池袋にオープンした映画館「新文芸坐」も、マルハンが運営している。
マルハン傘下には、飲食事業を展開するマルハンダイニングという会社もあり、店舗は主にパチンコホールに併設しているが、ホールを利用しない人も集客する業態にブラッシュアップしてきている。
具体的には、定食店やラーメン店を中心に展開しており、ショッピングモールのフードコートに進出する例もある。マルハンダイニングには、串カツ田中やファミリーマートのフランチャイズに加盟して運営している店もあり、23年3月末時点で531店を展開。実は、既に隠れた外食大手なのである。
パチンコの売り上げ1兆円超と大きすぎて外食の実力が目立たないものの、マルハンの総合エンターテイメント企業としてのポテンシャルは、相当なものではないだろうか。
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