50歳になっても“現役” 日本発の「モンチッチ」は、なぜ7000万体も売れているのか猿ではない(2/5 ページ)

» 2024年04月25日 05時00分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

猿ではなく100%擬人化されたキャラクター

 現在ではやわらかい素材でつくられたぬいぐるみも多いが、当時の主流は、体が固く常に形を保っているものだった。「おばあちゃんのタンスの上にある人形ケースの中にかざられているようなものが多かった」(山口さん)

 「かわいさ」を追求する中で、同社は「体がくたくたとした、やわらかいものをつくろう」と、開発に着手。しかし、やわらかくしたことで形が崩れてしまうといった課題が生まれ、キャラクターの顔の形を保つことが難しかった。

 そこで人形メーカーである強みを生かして、「人形をベースに、体はやわらかいぬいぐるみ」という“良いとこ取り”をしたキャラクターとして誕生したのがモンチッチだった。前身となったのは、体がくたくたとした動物のぬいぐるみ「くたくたシリーズ」の中でも特に人気だった「くたくたモンキー」と、指をしゃぶるポーズで同じく人気を博していた人形の「マドモアゼル・ジェジェ」だ。

1974年発売の初代「モンチッチ」出典:セキグチ (C)SEKIGUCHI

 モンチッチというネーミングは、響きのかわいさからフランス語で「私」という意味の「モン」と、「小さくかわいいもの」という意味を持つ「プチ」を合わせた造語だという。おしゃぶりをいつもチュウチュウと吸っていることから、モンチッチの名が付けられた。

 「よく『モンキーだからモンチッチだ』と解釈する方も多いが、モンチッチは猿ではなくモンチッチというキャラクター。『お猿のようにかわいい』という表現はするものの、100%擬人化されているキャラクターで、モンチッチも人のようにいろいろなモンチッチがいる」(山口さん)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.