「電話とトランシーバー」くっつけちゃった! 見たことがない端末が人気のワケあの話題は今(1/4 ページ)

» 2023年09月22日 08時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

あの話題は今:

 かつて一世を風靡した(ふうび)した商品やサービスはなぜ生まれ、その後どうなったのか? また、話題になった企業の取り組みは、現在どう進化しているのか。流行の背景、ビジネスとして成功した理由、生き残り策などに迫る。


 いまから36年前の話である。スキー場を舞台にした映画『私をスキーに連れてって』(1987年)がヒットした。当時、若い人の間でトランシーバーがややはやっていて、映画の中でも登場する。

 クルマの中やゲレンデで「はい、こちら〇〇。どうぞ」といったやりとりがあったわけだが、いまは違う。ほとんどの人は「スマホがあれば十分」と考えているわけだが、となると気になることがある。「トランシーバーをつくっている会社はどうなっているのか」だ。

1980年代に大ヒットした映画『私をスキーに連れてって』

 各社のことを調べていたところ、ちょっと気になる商品が目に飛び込んできた。無線機大手のアイコム社(大阪市)が開発したIPフォン「IP200H」(価格はオープン)である。

 この製品の最大の特徴は、無線LANを通じて電話とトランシーバーが“合体”していること(LTE回線を経由して通話も可能。SIM契約が必要)。2020年10月に登場して、直近1年間の販売台数を見ると、8倍ほど伸びているのだ。このような数字を目にしても、「うーん、なんとなく便利そうだけれど、使うシーンが想像できないなあ」と思われたかもしれない。

電話とトランシーバーを合体させた「IP200H)

 例えば、学校。普段は内線電話として先生同士が一対一で会話をする。しかし、何らかのトラブルが生じたり、不審者が校内にいたりすれば、一斉に連絡できるトランシーバーを使う。こうした使い方をしている学校が多いそうだ。

 ちなみに、スマホなどを使っていない学校は、どのような通信手段で連絡しているのか。複数の先生または個別に連絡する場合は校内放送で、内線電話の代わり使っているのは教室にあるインターフォンで。

 昭和の文化がびたーっと張り付いているようにも感じるが、こうした環境で働いている先生にとって、このIP200Hは使い勝手がいいようだ。22年度(4月〜3月)の年間販売台数は1700台を突破。これまで70校以上での導入が進んでいる。

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