なぜ学校で「電話+トランシーバー」の普及が進んでいるのか。安全対策だけではなく、校舎での無線LANの整備が大きく影響しているようだ。
新型コロナの感染拡大によって、学校は一斉休校に追い込まれた。生徒にパソコンやタブレット端末などを配って、校舎では無線LANの整備が進んだ。文部科学省によると、教室の無線LAN整備率は94.8%まで伸びている(22年3月現在)。こうした環境が整ったこともあって、IP200Hの導入が進んでいるともいえる。
それにしても、アイコム社はなぜ「電話+トランシーバー」をつくろうと思ったのか。外部環境として大きいのが、PHSサービス(法人向け)が23年3月に終了というニュースだ。病院やホテルなどで構内PHSを使っているケースはあるが、いずれサービスが縮小するかもしれない。そうした懸念があるので、担当者から「PHSに代わるモノはないか?」といった声がでている。
ちょっと話が変わるが、同社のトランシーバーは工場でよく使われている。全国の工場を見ると、PHSやトランシーバーを使っているケースが多く、そうしたところで働く人は「PHSのサービスが終わるので、困っているはず。電話機能だけではなく、トランシーバーもほしいと考えているのでは」という仮説を立てた。
開発に2年ほどの時間をかけて、「少なくとも日本では前例のない端末が完成した」(同社の広報)。ただ、実際に使ってもらったところ、想定していなかった不具合が次々に起きてしまう。なぜか。
とある学校でのこと。「この校舎には無線LANのアクセスポイントがこのくらいあるはず」といった予想を立てて、開発メンバーは作業を進めた。しかし、見立ての数字が少なかったのだ。そうすると、どういった症状が起きたのか。
歩いて使っていると、さまざまなアクセスポイントの電波をキャッチして、そのたびに“聞き取りにくい”現象が起きたのだ。アクセスポイントは各教室に設置されていたこともあって、その教室で通話をしていると、隣であったり、上の階であったり、下の階であったり、近くの電波をつかんでいた。
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