もはや子どものおこづかいじゃ買えない? コンビニ各社が「高級アイス」に注力する納得の事情(3/5 ページ)

» 2024年04月30日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

 コンビニのアイスクリーム販売事情を探るべく、都内某所のセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの店舗を視察しました。すると、いくつかのアイスクリーム販売における変化が見えてきたのです。

(1)アイスケースの進化

 アイスクリーム販売を強化した先駆者は、何といってもセブンでしょう。そのセブンで導入しているアイスケースの進化には、目を見張るものがあります。

 アイスクリームが並ぶ大型アイスケースを店内に導入したのは、コンビニエンスストア業界ではセブンが初めてだったそうです。当初のアイスケースは、フタのついたものでした。

 その後、フタがない、外気に触れる状態でアイスクリームを販売する新たなケースを導入しました。いわゆる「冷凍平台」です。フタがなくなったことで、アイスを手に取りやすくなりました。ケースに手を伸ばせる方向が増えるため、一度に販売できる量も増加。筆者は、冷凍平台の導入が、コンビニのアイスクリーム売り上げが大きく伸びるきっかけになったと考えています。

出所:セブン‐イレブン・ジャパン公式X

 目に見えない冷気の層を作り、温度を保つ冷凍平台。初めて見たとき、筆者は「フタがなくてもアイスが溶けないのか」と驚いたものです。その後、他のコンビニでも冷凍平台が標準となっていきました。

 一方、セブンの新店では再びフタつきのアイスケースに戻すなどの動きも見られます。外気の影響が少なく温度変化に対応できるため、店舗の入り口周辺でアイスを販売可能です。そのため、さらに売り上げが伸びる起爆剤になるかもしれません。

フタつきのケースを再び導入する動きも(撮影:筆者)

(2)商品の高級化

 アイスといえば、筆者が子どものころ(1970年代)は1本50円でした。近所の駄菓子店に、50円玉を握りしめて買いに行ったことをよく覚えています。それが今では100円以上が当たり前、300円を超えるようなアイスも登場するなど、高級化が進みました。

 『セブン、人気アイス「まるで」シリーズで300円超の超高級バージョン投入 価格の松竹梅戦略』という記事によると、セブンではアイスの中価格帯ラインアップとして150〜200円前後のセブンプレミアム商品「『まるで』シリーズ」を展開。低価格帯は「ガリガリ君ソーダ」や「みぞれいちご」(ともに86円)、高価格帯は350円前後の「白くま」シリーズを投入しており、それぞれで松竹梅の戦略をとっています。

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