一般的に企業不祥事は「個人的なものか、組織ぐるみのものか」と「意図的なものか、意図せざるものか」の2軸のマトリクスで考えられ、4種類に分類できます。小林製薬のケースは「個人的なものか、組織的ぐるみのものか」については、組織風土に由来するものであり「組織的」といえるでしょう。
一方、「意図的なものか、意図せざるものか」に関しては、現時点では悪意を持って(悪いことと知りつつ)行動したと判断される材料はなく「意図せざる」に該当します。以上を総合すると、今回の件は「組織的かつ意図せざる」不祥事に該当します。
近年の不祥事で「組織的かつ意図せざる」ものの代表例として挙げられるものは、みずほ銀行での度重なるシステム障害事故です。これは「意図せざる」事故ではありましたが、直接行政調査に乗り込んだ監督官庁である金融庁の報告書によれば、システム軽視の組織風土を根底とした、問題を矮小化する組織的な思考回路があるとされました。
まさに「組織的かつ意図せざる」不祥事です。当時の調査レポートを読み返してみると、今回の小林製薬にも共通する不祥事発生の根本原因が見えてきます。
まず気が付くのは、みずほ銀行におけるシステム軽視の組織風土と、小林製薬における機能性食品製造現場における衛生面軽視の風土が似ていることでしょう。みずほ銀行では障害発生を甘く見たことが、結果的に大きなシステム障害につながりました。小林製薬では、健康被害の発生報告を甘く見たことが、対応の遅さにつながり、被害者を爆発的に増やしてしまいました。こうした、非常に類似した重大な問題点が、複数あることに驚かされます。
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