ファミマ「生成AIで業務を50%削減」の事例も 企業が活用するためのポイントとは?(1/3 ページ)

» 2024年04月30日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


 ファミリーマートが、生成AIの活用によって関連業務を50%削減できそうだと発表しました。同社は2023年12月から3カ月間にわたり、生成AIによる業務効率化の広範な実証実験を推進。その結果、作業時間を約50%削減できる見込みの業務を特定し、今期に集中的に効率向上に取り組むといいます。

 具体的には、全社横断の「生成AIプロジェクト」を立ち上げ、50人のプロジェクトメンバーが「セキュリティ・レギュレーション作成」「Q&A作成・自動回答」「文書作成・要約」「定型シート作成」「法令・リスクの洗い出し」「翻訳」の6領域に注力し、業務改善を試みると宣言しています。

 ファミリーマートのように、迅速に実証実験を行い、成果の手応えを得て次のステップへ強く推進していける企業はまだ多くはないでしょう。「生成AIが世界的に注目されているテーマだとは知りつつも、自社にどうやって落とし込めば良いのか分からない」「そもそも本当に成果が上がるのか気になる」という企業の方が多そうです。

出所:ゲッティイメージズ

生成AIを活用できている企業はわずか9%

 実際、帝国データバンクの調査結果によると、生成AIを活用しているのは現段階ではまだ9%にとどまり、今後の活用を検討しているのが52%と大きな比重を占めています。中でも、活用を検討しているがイメージが湧かず足踏みをしているという企業が37.8%。どのような業務で導入すべきか、具体的なケーススタディが求められていることがみてとれます。

帝国データバンクの調査結果を基に筆者が作成

 そのような企業の懸念を察してか、マイクロソフト・小売部門のバイスプレジデントは、あるインタビューで生成AIについて次のような4つの変革を提唱しています。

(1)Eコマースマーケティング

  • パーソナライズされたマーケティングコンテンツ
  • 商品説明の自動化
  • Cコマース

(2)店舗運営と顧客サービス

  • データドリヴンな業務オペレーション
  • 自然言語によるコンテンツアクセス
  • 会話型サービス

(3)サプライチェーン

  • リスクの特定
  • 消費者の需要シグナル把握
  • プロセスと判断の自動化

(4)業務効率

  • コンテンツ作成や議事録
  • データに関するQA
  • インテリジェントなオンボーディング

 4月25日に発表された2024年1〜3月の売り上げは、前年同期比17%増の618億5800万ドルを達成し、その成長の牽引要素となったのが生成AIであったとしています。

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