順風満帆のキタと“素通り”危機のミナミ 新線開業で大阪の行方は?(1/4 ページ)

» 2024年05月06日 07時45分 公開
[産経新聞]
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 大阪市の繁華街、ミナミで再開発の動きが本格化している。ミナミの中心部である難波では旅行客らがくつろげる広場が整備され、高級ホテルやオフィス、商業施設の開発が続く。難波周辺に本社を構える南海電気鉄道などは令和13年に、新線「なにわ筋線」の開業に合わせて新駅も開業する。関西国際空港から、キタと呼ばれるJR大阪駅方面へのアクセスを向上させる新線開業は訪日客のミナミの“素通り”を促す懸念もあるが、企業や自治体はミナミの魅力を高めて、人流を引き止めたい考えだ。

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 「こんな場所ができていたなんて、知らなかった」。4月下旬、南海難波駅前の広場を訪れたカップルは、驚きの声を上げていた。周囲では多くの家族連れや訪日客が行き交い、思い思いの時間を過ごしていた。

 大阪市が南海などと協力して昨年11月に開設した、広さ約6千平方メートルの「なんば広場」だ。市は「世界をひきつける観光拠点」として整備を進めてきた。ベンチや照明なども整備され、雑多な印象が強かったこれまでの難波の雰囲気とは大きく異なる。

 ミナミでは、難波を中心に再開発の動きが本格化している。

 なんば広場に続く通りを進むと、関電不動産開発や南海、大阪メトロが計画する、大型複合ビルの建設用地が見えてくる。高さ100メートル超の新ビルは13年ごろに開業する計画で、上層階には4つ星ランクの高級ホテル、下層階にはオフィス、商業施設が入居する。ビルには周辺部に抜けられる通路を整備し、店舗などが密集する「“裏なんば”と呼ばれるエリアにも通行しやすくする」(関係者)という。

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