順風満帆のキタと“素通り”危機のミナミ 新線開業で大阪の行方は?(3/4 ページ)

» 2024年05月06日 07時45分 公開
[産経新聞]
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JR大阪駅周辺 より大規模な開発進む

 ミナミをめぐっては、令和13年になにわ筋線が開業すれば、関西国際空港から来日したインバウンドがミナミを通過してキタと呼ばれるJR大阪駅周辺に向かってしまう危険性が指摘される。

 新線が開業すれば、関空からはJR西日本、または南海電気鉄道の路線と、なにわ筋線を経由して、大阪、さらに新幹線停車駅の新大阪に行くことができる。阪急電鉄も13年には十三と大阪、新大阪を結ぶ連絡線の開業を目指しており、関空と新大阪のアクセスはさらに改善する見通しだ。ミナミの開発を主導する南海にも、新大阪に直通できるメリットがある。

 ただそれは、訪日客がなにわ筋線の路線外にある南海難波駅を訪れなくなる可能性ももたらす。なぜならキタでは、さらに大規模な、訪日客に魅力ある開発が進められているからだ。

 具体的には今年9月に、巨大な都市公園や商業施設、ホテルなどを備えた再開発地域「うめきた2期」が大阪駅北側で部分開業される。日本の“里山”をイメージして整備されるという公園には桜など約800本の樹木が植えられ、巨大な緑の空間が生まれる。

 大阪駅周辺ではまた、日本郵便やJR西などが旧大阪中央郵便局跡地で開発を進めてきた大型複合ビル「JPタワー大阪」が竣工したほか、ほかの新ビル開発も進む。歩行者デッキなども整備され、駅周辺の移動もスムーズになる。

 巨額の投資が長年行われ、大規模開発が進められてきたキタに対し、ミナミの開発は規模では太刀打ちできないのが実情だ。ミナミには、その独自の魅力を高める開発が求められている。

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