社会保険料の滞納を巡っては、資産の差し押さえを受ける企業も全国で急増している。日本年金機構によると、厚生年金保険料などの強制徴収は令和5年度、上半期(4〜9月)だけで2万6千社を超え、未集計の下半期を含めれば前年度(2万7784社)を大幅に上回る見通しだ。
年金機構などによると、差し押さえによる強制徴収を受けた事業所は、平成22年度に1万3707社だったが、その後は年々増加。令和元年度には3万3142社に達した。ただ、コロナ禍に伴う社会保険料の納付猶予措置の影響もあり、2年度は3357社、3年度は6781社と縮小。コロナ禍が落ち着き徴収が本格化した4年度には一気に2万7千社を超え、5年度はさらなる増加が見込まれる。
差し押さえが「最後通牒(つうちょう)」となって倒産に追い込まれる企業も出ており、「差し押さえの増加が倒産の拡大を招くのでは」(企業関係者)などと懸念する声も上がる。これに対し、日本年金機構広報室は「事業の継続に支障があるような資産の差し押さえは、できるだけ避けるようにしている」としている。
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