「ぷかぷか」と表現すればいいのか、それとも「ふわふわ」なのか。「ぽんぽん」では……ないな。
アサヒビールがちょっとユニークな商品を開発した。“本物”のレモンスライスが入った「未来のレモンサワー」(フレーバーはオリジナルまたはプレーン、いずれも298円)である。この商品の特徴は、缶の底に沈んでいるレモンが浮かんでくること。フタを開栓すると「ぷかぷか」または「ふわふわ」と浮かんでくるわけだが、どちらの表現がより適切なのか迷っているのだ。
「ど、どっちでもいいじゃねえか。見たことはねえけど『ぷよぷよ』でもいいっしょ」などと思われたかもしれないが、浮かんでくるレモンの姿を見てどんな反響があるのか。2023年5月、ECサイトで試験販売したところ、SNSで「これは話題になるわ〜」「アサヒ、良い仕事するやんけ!」といったコメントがあった。
それにしても、なぜアサヒビールは見たことも聞いたこともないレモンサワーを開発したのだろうか。時計の針を、2021年に巻き戻す。この年、同社は「スーパードライ 生ジョッキ缶」(以下、生ジョッキ缶)を発売した。フタを開けると、きめ細かな泡が「もこもこ」と出てくることに注目が集まり、あっという間に人気に火がついた。追加生産しても店の棚から“瞬間蒸発”が続いたので、覚えている人も多いかもしれない。
生ジョッキ缶が売れた秘密は、これまでになかった斬新な缶の構造があるわけだが、RTD(Ready To Drink:フタを開けてすぐにそのまま飲める飲料のこと)のチューハイチームはこの姿を近くで見ていて、次のようなことを考えていた。「チューハイにも生ジョッキ缶の技術を応用できないか。缶の中にレモンなどが入った商品をつくれないか」と。
生ジョッキ缶のコンセプトは、居酒屋の生ビールを自宅で楽しめること。これと同じように、居酒屋で飲むようなチューハイをつくれないかと考えていたのだ。
生ジョッキ缶は2021年4月に発売したが、チューハイチームはそのちょっと前から開発を進めていた。通常、チューハイの開発期間は1〜2年ほどだが、未来のレモンサワーは3年半ほど。なぜこれほどの歳月を要したのか。理由のひとつに、生ジョッキ缶の売れすぎ問題が関係していた。
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