なぜスーパードライから“細い缶”が登場するのか 「モンスター」と同じサイズ音楽+ビールで訴求(1/3 ページ)

» 2024年02月14日 05時00分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

 1987年の発売以来、「さらりとした飲み口、キレ味さえる辛口の生ビール」をコンセプトに展開しているアサヒビールの「スーパードライ」。2022年には初のフルリニューアルを実施し、コンセプトはそのままに、“キレのよさ”は維持しながら飲みごたえを向上させた。

 そんなスーパードライに、若者層をターゲットにした新商品「アサヒスーパードライ スマート缶」(以下、スマート缶、価格はオープン)が2月27日から数量限定で登場する。中身は通常のスーパードライと同様だが、容器はスーパードライの特徴であるシルバー色をベースに「SUPER“DRY“」のロゴを大きく描いたスタイリッシュなデザインの缶となっている。

 開発背景や狙いをビールマーケティング部で「スーパードライ」のブランドマネージャーを務める岡村知明氏に聞いた。

「アサヒスーパードライ スマート缶」(出典:プレスリリース)

ビールへの関心が低い若年層を振り向かせるために

 同社が手掛けるビール類の中でも主力ブランドのスーパードライはここ数年、次々と新商品を発売している。想定を上回る注文により一時発売休止にもなった大ヒット商品「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」や、その大容量版「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶大生(だいなま)」。23年にはアルコール分を3.5%にした「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」をリリースした。

「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」(出典:プレスリリース)

 フルリニューアル時に再定義したブランドパーパス(存在意義)は「気持ち高まる瞬間を分かち合う」。これに基づき、顧客の気持ちが高まる瞬間に寄り添い、スーパードライを楽しむ中で消費者各々の気持ちが高まる瞬間を生み出す手伝いをするブランドとして、体験や商品を提供し続けているという。

 そんな中、スーパードライの顧客層の1つとして重要だと考えていたのが、スマート缶のメインターゲットである若年層だった。若者の“ビール離れ”にはメガブランドであるスーパードライとしても危機感を覚えており、「そもそもビールへの関心が低い層へは、従来のやり方だけではアプローチしきれないため、新しい訴求方法を検討していた」(岡村氏)という。

 若年層に振り向いてもらうため、考案したのが「ビールが主語でなく、若年層が好きなものを主語にして、そこにビールを結び付けることで興味を持ってもらうこと」だった。

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