なぜスーパードライから“細い缶”が登場するのか 「モンスター」と同じサイズ音楽+ビールで訴求(2/3 ページ)

» 2024年02月14日 05時00分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

音楽+ビール

 若年層にスーパードライを手に取ってもらうキッカケとして行き着いたのが、音楽だった。スーパードライはこれまでもさまざまな人気音楽フェスとのタイアップや、アーティストたちが一発撮りのパフォーマンスを披露するYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」とコラボするなど、若年層に人気のコンテンツとかけあわせたプロモーションを実施してきた。

通常の「スーパードライ」も1月製造分から順次デザインを変更。「飲んだ瞬間の飲みごたえ」「瞬時に感じるキレのよさ」を表現する“辛口カーブ”を缶体裏面にデザインしている(出典:プレスリリース)

 スマート缶については、スーパードライのCM曲『Wonder』を担当する人気バンド「ONE OK ROCK」のライブチケットが抽選で当たるキャンペーンを予定しているほか、4月下旬から9月30日まで東京・銀座にコンセプトショップを展開。

 スーパードライの世界に没入できる場所として、ビールを飲むだけではなく、同社の茨城工場と吹田工場にある「スーパードライ ゴーライド」を楽しめるようにする。スーパードライ ゴーライドとは、自らがビールの缶に乗っている設定で、製造の速度や迫力を感じられる施設だ。

 さらに、商品起点では若者に「自分向けだ」と認知してもらえるよう、同社のビール類では初となるスタイリッシュな缶容器を採用した。アサヒ飲料がブランドの独占販売権を取得しているエナジードリンク「モンスターエナジー(Monster Energy)」などで使われている缶と同様のものを使用している。

 その背景には「若者が好み飲んでいて、“おしゃれでかっこいい”イメージがあるエナジードリンクの容器を採用することで、まずは手に取りたくなる、自分たち向けのものと感じてもらいたい」という狙いがある。

人気バンド「ONE OK ROCK」とタイアップしたキャンペーン特別缶

 開発に当たって苦労したのは、缶のデザインだった。「形自体がおしゃれでスタイリッシュであることに加え、若年層に反応してもらうためにはデザインが特に重要だと考えた。スーパードライらしさをちゃんと残しつつも、既存デザインの枠をとっぱらいながら出た数10案の中から、最終的に現在の案を採用した」(岡村氏)

 最終案に至る過程では、顧客調査も実施。メインターゲットである若年層はもちろん、スーパードライを愛飲している既存顧客にもヒアリングし、ネガティブチェックも実施したという。

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