そして、3つめの理由がレモンの状態である。フタを開けるとなぜレモンが浮かんでくるの? と思われたかもしれないが、その仕組みはそれほど難しくない。レモンは缶の底に沈んでいるが、フタを開けると炭酸の発泡によって「ぷかぷか」または「ふわふわ」と浮いてくるといった原理である。
フタを開けたのにレモンは沈んだまま――。とならないようにするには、どうすればいいのか。レモンの大きさ、重さ、厚さなど、ちょっとずつちょっとずつ調整しなければいけない。何度も何度も試して、浮かんでくる形状が分かってきた。
課題をひとつ解決しても、想定外のトラブルが続く。やっと手に入れたレモンが輸送中にほとんど割れたり、保管中にカビだらけになったり。温度は何度がいいのか、湿度はどのくらいがいいのか。そうした問題をひとつずつクリアして、ようやく商品が完成したのである。
完成までに時間がかかった理由を紹介したが、これらのうちひとつでもうまくいかなかったら、新商品は完成していなかった。いわば綱渡りのような状況だったにもかかわらず、なんとか渡り切ってハレの舞台を迎えることになったのだ。
未来のレモンサワーは6月11日に発売する。首都圏・関東圏エリアの1都9県にて数量限定で扱う。「工場で製造された商品は、すでに予約注文でなくなりました」(山田さん)とのことなので、開発メンバーはほっと胸をなでおろしているに違いない。……と、ここまで読んで勘の鋭い読者はピンときたかもしれない。
「なぜエリアを限定しているのか、なぜ数量を限定しているのか。ひょっとして、大量生産ができないのでは?」と。現状、未来のレモンサワーの最大の課題は「数」である。出荷分がすべて売れているのであれば、じゃんじゃんつくればもうかるはずである。それをしないのではなく、できないのである。その要因は、レモンの調達だ。
「数を優先して、品質を落とすわけにはいきません。たくさんつくって品質に影響がでてはいけませんので、数量を限定にしました」(山田さん)。となると、気になるのは次の販売である。いまのところ未定だが、年内には販売したいそうだ。
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