続いて、日本のIP活用商品の可能性と、機会損失の可能性を感じたエピソードをご紹介します。BEENOSグループではIPを活用したコスメブランド「Lovisia(ラヴィジア)」を販売しています。一部商品は海外にも展開しており、その市場調査のため、2023年にロサンゼルスでの現地視察を実施しました。
視察をした現地の服飾店、雑貨店では日本のアニメ商品の展開は少なく、ディズニー作品やマーベル作品が大きな割合を占めていました。これらのグッズはキッズ向けの商品か、あるいはフィギュアなどのコア層向けの商品に大別できます。
日本のアニメ、ゲームなどのIPを活用したグッズはアニメの専門店などで販売されており、やはりコア層向け商品とキッズ向けの雑貨商品が一部で確認できる程度でした。
しかし、Buyeeユーザーに実施したアンケートからは、コア層とキッズ向け“以外”の需要が見えます。このアンケートでは「欲しいアニメグッズ」として多くの回答者が衣類/ファッションアイテム(33%)や日用品/インテリア(18%)など、日常的に使用できる商品を挙げています。
先ほどご紹介した「Lovisia」を、2020年に初めて米国のバイヤーに商品を紹介した際にはキッズ向けのコスメだと認識され、アニメキャラクターのコスメが大人向けのアイテムとして理解されませんでした。
しかし、2023年に販売した「星のカービィ」のコラボコスメは、米国で幅広い層に支持され好調な売れ行きを見せました。このことから、3年ほどの間で「IPを活用した大人も使える日用品」への需要が増していることを実感しました。
海外ではこうしたニーズを満たす商品の流通が十分ではない一方で、日常的に使用できるIPを活用した大人向けの生活雑貨類は日本では当たり前のように流通しています。
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