カスハラが起こった場面はどこか聞いた。最も多かったのは「普段就業している場所」(68.1%)で、被害内容として最多だったのは「暴言や脅迫的な発言」(60.5%)、次いで「威嚇(いかく)的・乱暴な態度」(57.7%) 、「何度も電話やメールを繰り返す」(17.2%)だった。カスハラ加害者の属性で割合が高かったのは「初対面の客」(46.3%)、次いで「常連客」(41.0%)で、男女別では「女性」よりも「男性」が多く、年代では「高齢層」ほど多くなる傾向が見られた。
所属する会社側の対応も尋ねた。最も多かったのは「嫌がらせの被害を認知していたが、何も対応はなかった」が36.3%で、「会社は嫌がらせの被害を認知していなかった」も19.3%が回答した。
会社側から対応があった場合の内容については、最多が「事実確認のためのヒアリングを行った」(44.5%)、次いで「要望を聞いたり、問題解決の相談に乗ってくれた」(44.2%)、「上司・同僚・部下に事実確認を行った」(39.9%)という結果だった。
会社や上司からセカンド・ハラスメント(相談をしたことで2次的に傷つく被害)を受けた割合は25.5%。被害内容で最も多かったのは「ひたすら我慢することを強要された」(11.0%)、次いで「軽んじられ、相手にしてもらえなかった」(8.9%)、「一方的に自分自身に責任転嫁された」(8.2%)などが聞かれた。
カスハラを受けた直後の心境を聞いた。「仕事を辞めたいと思った」と答えた人は38.0%、「出勤がゆううつになった」人は45.4%と半数に近い割合となった。また「次の転職時は顧客やり取りのない仕事につきたい」と感じた人も37.5%いた。
転職意向と離職率については、1年以内の「カスハラ経験あり層」と「なし層」を比べたところ、「あり層」は転職意向が1.8〜1.9倍高く、年間の平均離職率は1.3倍高い傾向が見られた。
パーソル総合研究所の小林祐児上席主任研究員は「カスタマーハラスメントの背景には、現場の人手不足がある。今後、さらに社会問題化していけば、顧客サービス職を選ぶ労働者もますます少なくなってしまう。カスハラ後にも、被害者を適切にケアし、事例として共有していくことで、会社への信頼資産を貯めることにもつながっていく。また、社内だけではなく、対外的に会社としての態度や対策を表明していくことも求められている」とコメントした。
インターネットによる調査で、対象は顧客折衝のあるサービス職で働く20〜69歳男女2万108人。調査期間は2月6〜9日および3月21〜25日。
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