市街地やモール内など、多くの場所で見かけるスターバックス コーヒー(スターバックス)。落ち込む業界の中で、実はこのスターバックスだけが元気に店舗数を増やし続けている。2019年に国内1500店舗を達成してから、コロナ禍でも店舗数は順調に増加。2024年3月末時点で1917店舗を展開している。
一方、国内の喫茶店市場は1982年の1兆7000億円をピークに減少へ転じており、既に飽和状態にある。業界2位のドトールコーヒーショップ(ドトール)は店舗数が頭打ちとなり、3位のコメダ珈琲店は増加傾向とはいえそのペースは緩やかだ。4位のタリーズコーヒーも伸び悩んでいる中“スタバ一強”の状態はなぜ続くのか。その理由を探っていこう。
国内の喫茶店市場は、上述の通り1982年に1兆7000億円のピークを記録して以降、減少に転じ、2019年は1兆1784億円だった。さらにコロナ禍が直撃した2020年は、2019年比で68%水準まで落ち込んでいる。
立ち飲みスタイルとしてドトールが1号店をオープンしたのは1980年。その後、喫茶店のチェーン化が進み、個人店は姿を消していった。全日本コーヒー協会によると、国内の喫茶店数は1981年の15.4万店をピークに減少を続け、2021年の時点で約5.8万店しかない。喫茶店が衰退した背景には、気軽に飲食できるファミレスやファストフード業態の台頭も関係しているとされる。
業界の縮小が続くさなかの1996年、スターバックスは「銀座松屋通り店」をオープンして日本上陸を果たした。ドトールも駅前や商店街などの好立地に店を構えていたが、スターバックスは乗降客数の多い駅の近くや一等地など、より目に付きやすい場所に出店を続けた。
高い家賃はドリンクを主としたメニュー構成と高付加価値商品の投入で回収。好立地で目立つ店舗自体が宣伝効果を発揮したほか、「サードプレイス」としての空間づくりや、屋内の全面禁煙化による差別化が集客につながったと考えられる。1996年当時は成人男性の半分以上が喫煙していた時代だ。タバコが吸えないスターバックスは、異例の存在として見られていた。
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