そうしたリスクを回避するために、AIにもサイバーセキュリティ対策が必要になるのだが、これまではあまり深刻に捉えられていなかった。そのAIのサイバーセキュリティ対策をNVIDIAと協力して開発していくのが、日本に本社を置くトレンドマイクロなのである。NVIDIAのシステム上で、AIにあるリスクを回避し、データへのアクセス権限もきちんと管理していく。
台湾で開催されたCOMPUTEXでは、トレンドマイクロのブースでエバ・チェンCEOに話を聞くことができた。台湾出身のチェン氏は「これまで企業などにAIのサイバーセキュリティのリスクについていろいろと話を聞いてきましたが、みんな『何をすればいいか分からない』と口々に言っています。これからはAIにもサイバーセキュリティが不可欠になり、われわれは、AIを安全に使える手助けをしていきます」と述べた。
「トレンドマイクロは2018年から、AIに関連するサイバーセキュリティ開発に乗り出してきましたが、AIによって、サイバーセキュリティ分野も新しい世界が広がっていくと考えています。NVIDIAとの開発はそれをけん引していくことなります」(チェン氏)
同社は、まだ対策が進んでいない「AIのためのサイバーセキュリティ」にいち早く着目して、急ピッチで開発を続けてきた。関係者によれば、実際にそう遠くない先に導入が始まりそうだ。
トレンドマイクロではこれまで、同社の提供する統合サイバーセキュリティプラットフォーム「Trend Vision One」で生成AIを導入し、「Companion」というチャットボット型セキュリティアシスタントを提供している。ただ、これは「サイバーセキュリティのためのAI」だ。今回のNVIDIAとの開発は「AIのためのサイバーセキュリティ」となる。
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