「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンに、新聞が“チカラ”を入れる理由スピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2024年06月26日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

百貨店よりも厳しい新聞業界

 なぜ筆者がそう思うのかというと、記者さんが生きている世界がまさしく同じだからだ。

 ご存じのように、新聞は斜陽産業で、厳しい人たちからは「消えていく」とまで言われている。日本新聞協会によれば、2000年の新聞の発行部数は約5371万部だったのが、現在は約2860万部だ。2000年比53%まで激減している。20年で需要が半分に落ち込む産業などある意味、百貨店よりも厳しい。

東京商工リサーチの調査によると、2023年度の新聞販売店の倒産は過去30年で最多に(出典:プレスリリース)
地区別の倒産状況(出典:プレスリリース)

 ただ、これも百貨店と同様で、もともと日本は新聞社が異常なほど多すぎた。先進国で、1000万部とか800万部なんて全国新聞は存在しない。ネットやSNSの発達うんぬん以前に過剰供給だったのだ。

 だが、多くの新聞人はそういう事実を受け入れることなく、必死に「新聞はこの社会にとって必要不可欠だ」と訴える。いわく、「ネットメディアと異なる良質な報道」「新聞が消えたらフェイクニュースだらけだ」とかなんとか、新聞社の数が減ったら日本が滅びるみたいな話をしている。

 ただ、これも「百貨店閉店でにぎわいが消えた」キャンペーンと同じく、根拠のない恐怖をあおるミスリードだ。今の日本の人口規模なら新聞はもっと減ったところで、国民に特に大きな不利益はない。

 企業や政治家・有名人の不正をあぶり出しているのが、ほとんど週刊誌や暴露系インフルエンサーだという動かし難い事実がある。

 ネットメディアや週刊誌はうそばかりだというが、世の中で話題になるのはもはや週刊誌や暴露系インフルエンサーが発信源だ。ちょっと前まで岸田政権を苦しめていた裏金問題を突き止めたのも『しんぶん赤旗』で、日本共産党中央委員会が発行するゴリゴリの政党機関紙だ。日本新聞協会にさえ加盟していない。

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