メルカリとリクルートはタイミーの牙城を崩せない、これだけの理由スポットワーク戦争(1/5 ページ)

» 2024年06月27日 13時41分 公開
[古田拓也ITmedia]

 タイミーは2018年の設立から急速に業績を伸ばした企業だ。短期アルバイトを即時にマッチングするという革新的なサービスを提供し、700万人以上のユーザー獲得に成功した。この成功を受けて、メルカリやリクルートといった大企業もスポットワーク市場に参入している。しかし、大企業がタイミーの牙城を崩すのは容易ではない。

タイミー(出所:公式Webサイト)

 タイミーの強みとしてまず、先行者利益が挙げられる。タイミーは「スキマバイト」「スポットバイト」といった言葉がない時から市場に参入し、強固な顧客基盤を築いてきた。既に多くのユーザーから信頼を獲得しており、そのポジションは揺るぎないものとなっている。

 一方、大企業の参入にも明確な理由がある。メルカリハロはメルカリの既存の大規模な顧客基盤を活用できる点が強みだ。メルカリの利用者は既にメルカリアプリを使い慣れており、新しいサービスへの移行をスムーズに行えることもあって、サービス開始から3カ月弱で登録者数500万人、事業者の数も5万店舗を超えている(2024年5月末時点)。

 メルカリのプラットフォームを生かし、クロスプロモーションを展開することで、ユーザーに対する訴求力を高められる点も心強い。給料のデジタル払いが可能になれば、同社の決済サービスであるメルペイなどとも事業シナジーが生まれる可能性もある。

 「リクルート版タイミー」ともいうべき「タウンワークスキマ(仮称)」の強みは、リクルートの強力なブランド力と広範なネットワークにあるだろう。リクルートは長年にわたり人材紹介や求人情報提供の分野で培った信頼と実績を持っており、企業側からの信頼を得やすいという点が特徴だ。

 タイミー、メルカリでは「働き手の多さ」がアピールポイントとなる反面、リクルートは「働き口の多さ」もウリになる可能性がある。大手企業や中小企業からの求人を多く取り扱えれば、安定かつ大口の収益基盤を築くことができるかもしれない。

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