ぬれる“スキ”を与えない傘はなぜ生まれた? 見過ごされがちな感情にヒントテストマーケティングから見るプロダクトの近未来(2/2 ページ)

» 2024年06月28日 07時00分 公開
前のページへ 1|2       

「ダサい」からヒントを得たポンチョ

 別の事例もご紹介します。折り畳み式のポンチョはたくさんありますが、「使いづらい」「ダサい」と感じる人も少なくありません。そこで、アパレルメーカーのスポット(岐阜市)という会社が新たなアイデアとして、ファッショナブルな持ち運びパーカーを開発しました。

「お守りパーカー」(出所:公式Webサイト)

 「お守りパーカー」というコピーも斬新です。「うっとうしい雨も、これがあれば乗り越えられるのではないか」と思わせる表現が、消費者の心をつかんだのではないでしょうか。

ファッショナブルなデザインを意識した(提供:Makuake、以下同)

根本的な欲求、感情にこそヒントがある

 「うっとうしい」「面倒くさい」といった感情は、人間の根本的な欲求にも関連しています。物にあふれ、インターネットでつながった便利な現代でも、そのような感情が芽生えるタイミングは多くあります。しかし、何度もそのようなシーンに遭遇すると、自然と慣れてしまうもの。

 日常生活の悩みを目ざとく見つけて言語化し、解決の手段を考えることがヒット商品を生み出す上で重要です。皆さんの日常生活の中には、どんな「うっとうしい」「面倒くさい」が存在するでしょうか。

 人間の脳の処理能力には限界があります。そのため、こうした感情にいちいち反応しないように慣れていってしまうのではないかと考えています。マーケティングや商品開発の担当者は、そういった「慣れ」と戦いながら、日常にこそヒントがあると意識して商品企画に臨むとよいかもしれません。

著者プロフィール:松岡宏治

photo

株式会社マクアケ プロジェクト推進本部 執行役員

1992年生まれ。2015年早稲田大学卒業後、ITベンチャー企業を経て、2016年に株式会社マクアケへジョイン。マクアケ関西支社二人目の社員として、立ち上げに参画し事業拡大に貢献。その後福岡、名古屋、広島、金沢に拠点を立ち上げ、全地方拠点の管轄を務める。現在は東京本社でプロジェクト推進本部全体の管轄をしつつ、自らも各地方へ足を運んでいる。過去、国内メーカーのプロジェクトを中心に2000件以上のプロジェクトを担当。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR