2024年7月3日、日本は約20年ぶりに新紙幣を導入する。1万円札、5000円札、1000円札のデザインが一新され、最新の偽造防止技術が導入され、世界初の3Dホログラム技術をはじめとする最先端の偽造防止技術が採用。さらにユニバーサルデザインの観点から視覚障害者のための識別機能も強化される。
この変更は単なるデザイン刷新ではなく、日本の決済環境に大きな影響を与える可能性を秘めている。特に注目すべきは、新紙幣対応の現金取扱機器の更新遅れが、キャッシュレス決済の普及を加速させる可能性があることだ。
経済産業省の「キャッシュレス・ビジョン」によれば、政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%に、さらに将来的には80%に引き上げることを目標としている。すでに2024年3月時点で39.3%(126.7兆円)に達しており、第一目標の達成は目前だ。
キャッシュレス決済の急速な普及をけん引しているのは、QRコード決済に代表されるスマートフォン決済である。決済インフラやコンサルティングを提供するインフキュリオン((東京都千代田区))の調査によると、コード決済アプリの利用率は2019年の27%から2024年には68%へと急増している。特にPayPayの利用率は51%に達し、楽天ペイも23%と躍進を見せている。
個別サービスの利用率では、PayPayの利用率が続伸し51%に達した。楽天ペイもWAONを抜き第4位にあがってきている。一方で、コード決済アプリの利用率には濃淡も生まれている。au PAY、メルペイ、LINEPayは今回減少。サービス終了を発表したLINE Payは継続して減少が続いてきた。そんな中、FamiPayだけは拡大継続というのは面白いところだ(インフキュリオン調査より)一方、クレジットカードの利用も堅調だ。利用率は78%と高水準を維持しており、特に「タッチ決済」の普及が注目される。クレジットカード利用者の50%が日常的にタッチ決済を利用しており、非接触決済の利便性が浸透しつつある。
このようにキャッシュレスが進展するなか、現金利用は1年前と比較して4割の人が「減った」とインフキュリオンの調査に対して回答した。しかし今回新紙幣が導入されるように、依然として現金は重要な役割を果たしている。いったい現金の意義はどんなところにあるのだろうか。
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