マクドナルドがさらに値上げをしたと仮定し、価格がモスバーガーと同じとなった場合はどうでしょうか。48.5:51.5と非常に僅差ではありますが、モスバーガーを選ぶ消費者の方が若干多くなります。
ここからさらにマクドナルドが値上げしたと仮定します。モスバーガーの「テリヤキバーガー」の単品価格が、マクドナルドの「テリヤキマックバーガー」の単品価格よりも30円安い場合です。
この場合は、65.9%がモスバーガーを選ぶという結果となり、モスバーガーに軍配が上がりました。どうやらSNSの口コミ通り、マクドナルドの値上げが続くとモスバーガーへ流れる可能性がありそうです。
セット価格についても下記のように、アンケート調査を行いました。
現在のように価格差が210円の場合は、マクドナルドが選ばれます。価格差がなくなると、単品の時とほとんど結果は変わらず、僅差でマクドナルドを選ぶ消費者が多くなりました。さらにマクドナルドが値上げしたと仮定すると、モスバーガーに流れるようです。
ここで一つの疑問が浮かびます。消費者の決め手は、本当に価格なのか? という疑問です。そもそも根っからのマクドナルド派は値上げが続いたとしてもマクドナルドを選ぶのではないかという仮説が生まれます。逆もまたしかりです。ちなみに、かくいう筆者は大のモスバーガーファンで、学生の頃は入り浸っていた一方で、ストレス発散のためにジャンキーなものを食べたい時はマクドナルドに行くなど、価格に関係のない動機で購買の決定をしています。
調査の結果、価格が高いとしてもマクドナルドを選ぶ人は30.3%、逆にモスバーガーを選ぶ人は18.9%存在していると分かりました。また、マクドナルドがモスバーガーより安いうちはマクドナルドを選びますが、価格が逆転した際はモスバーガーへ流れる人が20.7%、その逆が30.1%存在します。
ここから、マクドナルドにもモスバーガーにも、ある程度の価格変更には影響されない根強いファンがいることが分かります。一方で、消費者の約半数が価格に影響されます。
ネットの声は非常に目立ちますが、その声が全てではありません。仮に利益を最重要指標とする場合、価格に影響される層の数が減少したとしても、客単価上昇による利益の増加分が上回れば問題ないわけですし、その逆の場合は、価格に影響される層の流出を全力で回避しなければなりません。
京セラ・第二電電創業者の稲盛和夫氏が掲げたフィロソフィ「値決めは経営である」にあるように、利幅を少なくして大量に売るのか、それとも少量であっても利幅を多く取るのか。価格設定は、事業状況をいかようにも変化させます。どちらを優先するのか、もしくは量と利幅の積が最大になる価格を見つけ出すのかといった、どのようなバランスが自社のビジネスにとって適しているのかを検討し、そこから逆算して価格設定することが重要です。
高橋嘉尋(たかはしよしひろ)
プライシングスタジオ代表取締役社長。
これまでリクルートをはじめとする大手企業から、「money forward」など中小企業まで数十サービスの価格決定を支援。
また、公的機関、学会、雑誌などへのプライシングに関する論文提出や講演会、寄稿などを通じ、プライシングに対するノウハウを積極的に発信。
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