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従業員の“恐怖心”がイノベーションの妨げに 経営層が参考にしたい思考法今こそ! 企業内イノベーション(3/3 ページ)

» 2024年07月05日 07時00分 公開
[関屋剛ITmedia]
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初期のアイデアや試みが完成形であることは、ほぼない

 成果を求められるビジネスシーンでは、最初から「完璧」を求めてしまいがちです。もちろんその姿勢は重要ですが、すぐに完璧なものを生み出せません。ここにも試行錯誤の過程が生じます。

 完璧を導くには長いプロセスが必要で、「完璧が出発点ではない」と認識することで、成功するまで継続的に試し、改善することが苦ではなくなるはずです。

 この考え方は、イノベーションを生み出す過程において極めて重要です。この考え方を持っていると、たとえ最初の試みが結果につながらなくてもチームのモチベーションと集中力を維持できるようになります。最終的にブレークスルーをもたらすのは、何度も改良を重ねる粘り強さです。

 「完璧が出発点ではない」という考え方は、イノベーションを生み出す環境の醸成にも役立ちます。優れたアイデアはどこからでも生まれる可能性があり、アイデアを完全に発展させるには、時間と労力が必要であると認識できるからです。

 繰り返し試行錯誤するプロセスを重視することで、組織はより幅広いアイデアや解決策を受け入れ、時間をかけて改良、改善できるでしょう。イノベーションの質を高めるだけでなく、開発プロセスに多様な視点をもたらすはずです。

(画像提供:ゲッティイメージズ)

失敗を再定義する

 ここまで述べてきたように、失敗を「学びと試行錯誤のプロセスの一部」と考えることで、失敗の概念は根本から再定義されます。失敗は成功の対極にあるのではなく、成功するための不可欠な要素なのです。

 こうした視点を持つことで、イノベーションに対してより系統立ったアプローチが可能になります。失敗を含めた全てのステップが、イノベーションの実現に貢献しているのです。企業は、英知と先見性を持ってリスクを取ることで、影響力のあるイノベーションを推進できるのです。

著者プロフィール

関屋 剛(ミロ・ジャパン合同会社 Head of Japan Sales)

1962年生まれ、青山学院大学を卒業後、三谷産業に就職。96年に日本オラクルに入社し、営業一筋でエンタープライズパフォーマンス管理/ビジネスインテリジェンス製品のソフトウェアライセンス分野における執行役員を歴任した。2012年にシマンテックに入社。常務執行役員 コマーシャル営業統括本部長を経て、15年代表取締役に就任。その後、日本オラクルでテクノロジー統括(クラウド営業統括)専務執行役員など要職を歴任し、23年にMiroへ入社。30年近いITエンタープライズ業界での営業経験を生かし、Miro Japanで営業部門を統括している。


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