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7カ国の経営層に聞いた「ビジネス成長に必要なこと」 生き残りから“繁栄”へ移行するにはどうすべき?【新連載】今こそ! 企業内イノベーション(1/3 ページ)

» 2024年03月06日 07時00分 公開
[関屋剛ITmedia]

 先日、日経平均株価は市場最高値を更新したものの、日本経済は「失われた30年」ともいわれる慢性的なデフレに引き続き悩まされ続けています。

 また、日本国内でも急速な物価上昇が見られ、人々の生活を圧迫しています。そうした背景もあり、政府主導での賃金上昇を社会的に推し進めた結果、この1年で1990年代以来最も急速に賃上げ率が上昇しました。

 このような社会情報の中、日本企業は、従業員の賃上げ要請や世界を先導する技術やサービスを開発するようプレッシャーを受け続けています。また、外資系競合企業の活動や代替サービスの登場などが相次ぎ、常に成長や変化の必要性を問われています。

 世の中の動きが複雑化する中で、企業が変化し、成長し続けるためにカギとなる要素の1つが「イノベーション」です。私たちは、イノベーションを実現させるビジュアルワークスペース「Miro」を2011年から運営しています。

 本連載では、イノベーションの専門家として、イノベーションに関する記事をシリーズで紹介していきます。

イノベーション 企業が成長し続けるカギの1つが「イノベーション」(画像提供:ゲッティイメージズ)

日本のイノベーションの現在地

 第一弾として、日本のイノベーションに関する現状をお伝えします。

 Miroは23年7月、7カ国(オーストラリア、ドイツ、フランス、日本、オランダ、英国、米国)の経営幹部1792人と知識労働者8261人を対象としたイノベーションに関する調査を実施しました。

 イノベーションを「新しい商品やサービスの開発と市場投入」と定義し、自社にイノベーションが必要か尋ねました。その結果、経営幹部の98%、知識労働者の79%が「イノベーションの必要性は緊急を要しており、ビジネスの成功にとって不可欠である」と回答しました。

 ただ、イノベーションが簡単に実現できるかというとそういう訳にはいきません。また調査では、日本は他の国と比べて、イノベーションの緊急性に対する危機意識が低いという結果が出ていました。

 ここからは調査結果をもとに、日本企業のイノベーションの実現を妨げている3つの脅威(要因)と、これらの問題を解決するために経営幹部が今すぐできるステップを順番に紹介します。

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