イノベーション、つまり新しい製品やサービスの開発と発売は、あらゆる企業の生命線です。世界知的所有権機関(WIPO)が実施した23年のグローバル・イノベーション・インデックスの年間順位表で、日本は残念ながら13位となり、フィンランドやオランダ、韓国などに後れを取る結果となりました。一方、Miroが実施した調査では、日本の企業全体で、企業の経営幹部(98%)と知識労働者(79%)がイノベーションを最優先に考えているという結果が出ています。
加えて、企業間の差別化と競争がこれまで以上に厳しくなる中、経営幹部の84%と知識労働者の72%が、競合他社に勝つためにはイノベーションが必要であると考えており、日本の経営幹部の3分の2(68%)は、「効果的なイノベーション戦略を導入しなければ、企業の存続は今後5年以内に危険にさらされる」とも述べています。
これは一体どういうことでしょうか。イノベーションの必要性は感じているものの、実現には移せない理由が背景にありそうです。では、一体何が組織のイノベーションを妨げているのでしょうか。
ここからは、調査から浮き上がってきた、組織がイノベーションの可能性を最大限に発揮することを妨げている3つの脅威(要因)について紹介します。
日本の経営幹部の半数以上(55%)は、イノベーションは「ぜいたく品」のように感じており、現在の状況では「必需品」ではないと述べ、知識労働者の40%も同意見でした。また、経営幹部の53%は、経済がより安定するまで企業はイノベーションを一時停止すべきであると回答し、半数は、画期的なイノベーションにつながる可能性でもそのリスクを冒すつもりはないとも答えています。
実際日本の経営幹部は、7カ国の中で画期的なイノベーションに最も抵抗感を示しており、より緩やかな変化である「漸進的(ぜんしんてき)イノベーション」を優先しようとする唯一の国でした。
経営幹部の69%は「恐怖がイノベーションの妨げになっている」と回答。61%が「自社がイノベーションを優先することを恐れている」と答えました。恐怖は非常に個人的なものでもあり、日本の経営幹部の3人に1人は、イノベーションプロジェクトが失敗した場合に、自身のキャリアが脅かされたり評価が傷ついたりすることを心配していると回答しています。日本の調査結果は、7カ国の中で最も高い数字でした。
調査において、経営幹部と知識労働者は、イノベーションにおける最大の障害は「技術的課題(ハイブリッドおよびリモートコラボレーションやレガシーツールの不十分なテクノロジー能力など)」と「戦略的課題」で、特に「野心の欠如」と「ビジョンと戦略に関するコミュニケーション不足」であると回答しています。
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