不確定な社会情勢の中、日本企業は、従業員の賃上げ要請や世界を先導する技術やサービスを開発するようプレッシャーを受け続けています。また、外資系競合企業の活動や代替サービスの登場などが相次ぎ、常に成長や変化の必要性を問われています。世の中の動きが複雑化する中で、企業が変化し成長し続けるために鍵となる要素の1つが「イノベーション」です。
本連載では、ビジュアルワークスペース「Miro」を運営するミロ・ジャパンの関屋剛氏が、イノベーションに関する記事をシリーズで紹介していきます。
あらゆるイノベーションにおいて、初期のアイデアがそのまま成功することは非常にまれです。ほとんどの場合、試行錯誤の過程は避けて通れません。新しい製品やサービスを開発し、発売までたどり着くためには、挑戦と失敗のプロセスを何度も繰り返す必要があるのです。
イノベーションを成功に導くには、その失敗をプロセスの一環として受け入れ、挑戦し続けなければなりません。今回の記事では、未来のイノベーションを起こすために失敗がどのような役割を果たすのかを検証していきます。
イノベーションはその性質上、未知の領域に踏み込むことを伴います。真のイノベーションにたどり着くまでの過程が直線的であったり、予測可能であったりすることはなく、多くの人が試行錯誤と改善を繰り返しながら成功へ向けて少しずつ進んでいくのです。
試行錯誤の過程で必要なのは、失敗を「挫折」と捉えたり単に受け入れたりするのではなく「貴重な情報」と捉え、失敗を学びの手段として積極的に取り入れることです。なぜ失敗したのか、うまくいかない原因を明らかにし、成功への道筋を探っていく必要があります。
さまざまな業界における画期的な革新は、数多くの失敗を経て発見されています。つまり一つ一つの失敗が、イノベーションへの足掛かりとなっているのです。失敗をマイナスの結果と捉えず、成功に向けた不可欠な要素と考えることはイノベーションの基本です。
最終的な結果だけでなく、成功までの過程にも焦点を当てれば、企業に実験的な文化が育まれます。複雑で進化のスピードが速い分野ほど、実験的な文化が重要です。もちろんこうしたアプローチには正しい答えは用意されていません。試行錯誤を繰り返し、企業ごとの最適解を見つける必要があるのです。
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