同社はビジネスの拡大に合わせ、インサイドセールスの組織拡大に積極的に取り組んできた。直近1年間でSansan事業部のインサイドセールス組織には新たに52人が入社。新入社員の多くは異業種・インサイドセールス未経験からの挑戦だ。
「経験の有無はそこまで重視しておらず、やりきる力があるかどうか、どちらかというと人間性の部分を重視している」(稲毛氏)
【お詫びと訂正:2024年7月9日午前11時20分 本文の一部を修正いたしました。訂正してお詫び申し上げます。】
未経験者を多くとるため、教育体制は緻密に設計している。
新入社員はまず「SDR1」でインサイドセールスの基本を学ぶ。効率的にリードを回す方法を学び、オペレーションの正確性や効率性を高め、インサイドセールスに必要なスキルを育てていく。
次に「SDR2」で、顧客に向き合い、戦略を立てるために必要なスキルを身に付けていく。SDR1では一社一社に向き合い戦略を立案したり、社内の関連部署と調整をしたりする機会は少ない。既存顧客のアップセルを担うSDR2で、契約情報やツール活用状況を見極めながら、顧客に合った提案をするスキルを学ぶ。
その後は、BDRに行ってインサイドセールスを極めるキャリア、フィールドセールスに異動するキャリアなど、従業員の希望に合わせて人員配置を決めている。
働きやすい組織つくりにも取り組む。「V2MOM」(※)というプロジェクトを立ち上げ、有志のメンバーがインサイドセールス組織をより良くするためのアイデアを持ちより、改善を実施している。
※V2MOM:Salesforce社で利用されている意思統一、目標管理の方法。ビジョン(Vision)、価値(Values)、方法(Methods)、障害(Obstacles)、基準(Measures)の頭文字で構成されている。
メンバーはマネジャー層から入社1カ月の新人まで幅広い。異業種から転職してきたメンバーが多いため、それぞれが過去の経験や知識を生かし、プロジェクトに参加している。
例えば採用プロジェクトでは、人材系企業の営業出身者がプロフェッショナルとして活躍。他にも、同社は広報施策としてnoteや公式メディアmimiを運営しているが、マーケティング広告の経験者がコンテンツ企画で活躍したという。
「メンバーがそれぞれのプロフェッショナルな部分を生かして、V2MOMに参加してくれている」(稲毛氏)
とはいえ、人員が急激に増えている今、教育面には課題が残る。人数が少なければ一人一人に時間を割き、各メンバーの苦手なことや課題と向き合えるが、1カ月に十数人入社してくる現状では難しい。新入社員が独り立ちするまでのスピード感は、今後も重視していく方針だ。
稲毛氏は「マネジャー人材の育成・確保も課題だ」と話す。
「マネジャーになりたいというモチベーションがある人材を確保することはもちろん、育成も強化する。マネジメントは、誰でもすぐにできるものではない。積極的にプロジェクトリーダーを任せて打席に立つ機会を増やし、成長機会を与えることで、マネジメントの素養を磨いていく機会を提供していきたい」(稲毛氏)
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