遠慮は美徳ではない 「おせっかい」が組織に必要なワケ(2/2 ページ)

» 2024年07月18日 07時00分 公開
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問題提起の効能とは?

 おせっかいに加えて、もう一つチームを強くする秘訣があります。それは互いに問題提起をしあえるような文化をつくることです。

 どんな組織にもさまざまな問題があります。そのこと自体は特に問題ではありません。チームはそれらの問題を着実に解決していくことでよりよい状態をつくり出していくのです。しかし、問題がなかなか解決していかない組織もあります。先日ある会社の人が「この問題って、10年前から言われているなぁ」と嘆いていました。こういう組織で起きていることは、問題を解決する能力が弱いか、そもそも問題が顕在化していないかのどちらかなのです。

 実は、問題が顕在化することを嫌がる会社は少なくありません。問題の存在を薄々感じていても、臭いものには蓋(ふた)で、あえて見ないようにしているのです。しかし、これでは自分たちがよりよくなる機会を自ら捨てているようなものです。そこで、問題提起をするということがとても大切です。

 問題提起をすることにはリスクが伴うと感じるかもしれません。問題提起は組織に「ゆらぎ」をもたらします。現状維持の安定を好む人は「なんでわざわざ波風を立てるんだよ」と反発するかもしれません。しかし、心理的安全性が高いチームは、互いにどんどん問題提起をして、問題解決を進めていきます。その結果、大きな成果や新しいチャレンジを成功させていきます。

写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

問題提起する人を応援する

 ポイントは、まず問題提起はネガティブなものではないとチームで共有することです。リーダーは「チームをよくするために、どんどん問題提起をしてほしい」とメンバーに伝えましょう。さらにはメンバーが主体となった改善のプロジェクトなどを立ち上げるのも効果的です。

 そして、問題提起する人が現れてチームにゆらぎが起きたときに、その人が責められたり、叱られたりしないように応援しましょう。「Aさんはよくその問題を指摘してくれたと思います。ありがとう。みんなで、この件を真剣に議論したいです」などと言うとよいです。

 問題提起ができるチームは、外から見るとしょっちゅう炎上しているようにも見えます。実際に、筆者が所属するスコラ・コンサルトの社内ミーティングやメールのやりとりなどは、いい意味で、よく炎上しているかのような雰囲気になります。

 しかし、そのゆらぎと熱量の中で、チームはどんどん進化していきます。そういうダイナミックな進化を支えているのが、恐れなく問題提起ができる心理的安全性が高い環境なのです。

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