JR東日本は2005年に「もしもし券売機 Kaeruくん」をJR青梅線の7駅に配置し、それと引き換えにみどりの窓口を廃止した。「もしもし券売機 Kaeruくん」は、指定席券売機に遠隔操作の対話機能を追加した券売機で、ネーミングセンスがよろしくなかったのか、後に「話せる券売機」になった。改良を重ねるとともに、みどりの窓口を指定席券売機や話せる券売機に置き換える駅が増えていく。2021年にはJR東日本のみどりの窓口を約7割減らして約140カ所にする方針を発表した。
この「話せる券売機」が使いにくいこと、買えないきっぷがあること、そしてみどりの窓口が減っていくことへの不満は、この頃からくすぶっていた。特に訪日観光客が増えた2016年以降、ネットで不満の声が現れ始めた。しかしすぐに沈静化する。コロナ禍で旅行自粛の傾向があって、窓口で閑古鳥が鳴く状態だったからだ。
2020年にJTBは115店の閉鎖を発表し、2021年には日本旅行がグループ会社を含めて約100店舗の閉店を決めた。旅行需要が冷えていく中で、JR直営以外のきっぷの窓口はどんどん減っていた。これも2024年春のJR窓口大混雑に跳ね返ってくる。
2024年春にみどりの窓口が大混雑し、利用者の不満の声が高まった。その背景に需要回復がある。新型コロナウイルスの第5類移行で自粛が緩み、旅行需要が回復したにもかかわらず、窓口が減ったままだったからだ。そこに新年度の定期券購入者、大型連休の旅行者、円安で急増した訪日観光客が押し寄せた。
それでもみどりの窓口の代わりになるべく開発、設置された「話せる券売機」は使いにくいままだった。クレジットカードで購入したきっぷの払い戻し機能追加など改善は進んでいるけれども、完全な代替はできない。機械を開発している人、採用する人の想像以上に、機械を苦手とする人が多いうえ、「人のほうが分かってくれる」という期待も大きい。有り体にいえば、利用客の動向を見極められなかった。
JR東日本「みどりの窓口削減凍結」に、改めて思うこと
利用されない指定席券売機 やっぱり「駅の窓口廃止」は間違っている
年末年始、なぜ「のぞみ」を全席指定にするのか 増収より大切な意味
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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