なのに日本では、政府も企業もいまだに「数」を重視しません。
「人事白書調査レポート2024」によれば、男女間の賃金格差解消のための具体的な取り組みとして、最も多かったのは 「評価の公平性や明確性の確保」(43.4%)、次いで「出産・育児などがハンデにならない業務・評価の仕組みの構築」(40.8%)で、「ポジティブアクション(重要な部署や役割、業務への優先的な女性の配置など)」は約2割にとどまっていました。
世界の先進国は「数」を増やす法を整備し、「平等とは自由である」という価値観を共有しています。どんなに経済界から反発がでようとも、精力的に進めています。
クオータ法を成立させたドイツでは、役員比率を男女共に30%以上にする義務が課され、女性がいない場合は、男性を増やすのではなく空席のまま運営をしなければなりません。
英国ではロンドン証券取引所(LSE)の構成企業の取締役会のうち40.2%を女性が占め、リーダーシップ層まで対象を拡大すると、上位350社では33.5%、上位50社においては34.3%となっています。2025年までに、上位350社のリーダーシップ層の女性割合を40%とするという目標は達成される見込みです。
自然に増えることを待っていてはあと100年はかかると言われています。
日本は「やりたいこと、やるべきこと」より、「できそうなこと」ばかりが優先され続けていますが、自然に任せていては日本は「衰退途上国」として生きていくほかありません。
それは同時に、企業の衰退を意味しています。
どうかお休み中、このようなことを心にとめながら、世界をテレビやリアルで、見ていただきたいです。日本の未来のために。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)、『40歳で何者にもなれなかったぼくらはどう生きるか - 中年以降のキャリア論 -』(ワニブックスPLUS新書)がある。
2024年1月11日、新刊『働かないニッポン』発売。
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