――ブルーステラ同様、企業のDXを推進するビジネスについては、富士通や日立製作所などIT企業各社が取り組んでいます。それらと比較すると、ブルーステラの特徴は何だと言えそうでしょうか。
基本的な仕組みは各社同じだと思います。NECの特徴を挙げるならば、大きく2つ。1つは、技術的な特徴です。当社では生体認証やセキュリティにおける強い技術を持ち、この分野のオファリングを充実させられる強みがあります。もう1つは、長年にわたる社内外の実績と培われた知見やノウハウです。これらを型にしてオファリングやシナリオとして提供する。これこそがNECならではの特徴になると考えています。
――ブルーステラのシナリオの1つに「データ利活用によるデータドリブン経営の実現」というものがありますね。具体的に教えてください。
NECは、自社をゼロ番目のクライアントとする「クライアントゼロ」という考え方によって、社内DXを進めています。その考え方に基づく取り組みの1つとして「経営データのリアルタイムでの見える化」が挙げられます。
10年前には、四半期ごとに決算の数字を見ることによって、現状把握と判断をしていました。現在は1分1秒ではないものの、ほぼリアルタイムに状況把握が可能です。例えば「このオファリングの売れ行きはどうか」「シナリオの進捗はどうか」と可視化できています。
これにより、売り上げが伸びそうなオファリングや営業強化すべき業種などを見極め、戦略の立案もできます。2023年度と比べ、落ち込んだ領域の問題解決にも役立てられています。
経営層だけではなく、現場社員がデータで見られるようになったので、現場で分析し、すぐに動ける状態になったと実感しています。この自社のDXの成功体験も、シナリオとして顧客に提供しています。
――ブルーステラでは、いかにしてシナリオを立てられるかがカギとなりそうです。シナリオの特徴は「コンサルから始まるSI運用ビジネス」だと言えそうですが、現時点でこれを立案できる人材は何人くらいいるのでしょうか。
シナリオを作り、展開する人材はブルーステラ事業推進部門という組織に400人程度います。この組織は既に4月に発足され「戦略を立案する」「シナリオを策定する」「顧客にアプローチする」などの人材から構成されています。
――今後ブルーステラの人員をいかにして増やしていくイメージでしょうか。
シナリオを作れるのがブルーステラ事業推進部門だけだと、NECのビジネスとして伸びが止まってしまうと考えています。この型を作る活動を、エンタープライズBU(ビジネスユニット)、パブリックBUなどの各BUの営業・SEが普通にできるような文化を作っていきたいです。これもブルーステラ事業推進部門のもう1つのミッションと捉えています。
各BUでブルーステラを推進する活動はまだ道半ばです。最終的には全社員がシナリオを作れるようにしたいと考えています。
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