NECが推進している価値創造モデル「ブルーステラ」。NECの新たなDXブランドとして打ち出しており、その技術もAIや顔認証技術など多岐にわたる。
中でも特徴的なのが、シナリオを軸にしたコンサルティングも含めたDX戦略モデルだ。DXの戦略立案から、サービスの提供、さらにそのサービスの運用・保守もNECグループが担うもので、DXを顧客に届ける狙いがある。
これまでのNECの知見とノウハウを、5つのアジェンダと8つのシナリオグループに分類。顧客が自社のDXロードマップを明確にできる利点がある。
ブルーステラでは、どのようにシナリオベースのDXを提唱しようとしているのか。DXを推し進める人材をどのように増やしていくのか。NEC BluStellarビジネス開発統括部の岡田勲統括部長に聞いた。
――NECはDXを推進する経営層を対象に、企業のDX進捗や課題に関する調査を毎年実施しています。経営層のDXやデータ活用に関する意識はどのように変わってきていると思いますか。
以前は、DXといってもまず何をどう取り組めばいいのか分からないという経営層の方が少なくありませんでした。一方、近年は他社の成功事例も増えてきたことで、経営におけるデータ活用のイメージがつかめてきた方が増えてきたように思います。
――NECの調査結果によると、2023年よりもDXに力を入れている企業が増えています。DXによって変化の余地が大きい業界は、どの業界だと考えていますか。
どの業種でも変化の可能性がありますが、製造業である当社の実感からも、製造業にも変化の余地が十分にあると思います。工場などの生産現場と、経営層との間で意識の差はあるものの、いずれもDXを進めなければならない意識は持っているようです。
ただし、変化はリスクを伴うものです。激しい競争に勝つために経営層はリスクを取ってDXによる経営改革を推進しますが、現場は安定志向のためリスクを回避する傾向にあります。そのため、DXが道半ばという企業も多くいらっしゃると思います。このような状況から、製造業ではDXによる変化の余地は十分にあると考えています。
――以前からNECはDXのビジネスやオファリングビジネスも手掛けてきたと思います。これまでのビジネスとブルーステラとは、どんな違いがあるのですか。
これまでのNECのオファリングは、コンサル・デリバリー・運用などのフェーズに合わせてメニュー化をして提供してきました。これらをつなげて上流から下流まで提供する仕組みがブルーステラのシナリオです。ただし、コンサルから入り、デリバリーをして、運用・保守する流れはあくまで一例です。課題が明確で実現手段も具体化している顧客なら、SI(システムインテグレーション)から入って運用・保守をし、そこから課題を見つけて次の戦略立案に入る形など、いくつかパターンがあると考えています。
入り口だけを見ると従来のSIと変わらないのですが、課題解決に向けて連鎖型で迅速に顧客にサービスを提供する仕組みを持っているのが、ブルーステラだと思います。
――上流から下流まで、コンサルから保守・運用まで担うのがブルーステラということですね。その過程ではデジタルサービスの内製の需要も出てくると思います。この内製化の問題については、どう考えていますか。
顧客企業での内製化は、今後進んでいくと思います。とはいえ、全てを内製化できないとも考えています。そこで顧客とディスカッションをし、顧客の強みと当社の強みをすり合わせれば、お客さまで内製化する部分とわれわれが担う部分のすみ分けができるはずです。あるべき姿に向けて最大限サポートしていきたいです。
――ブルーステラは戦略コンサル、デリバリー、運用・保守の3つを顧客に提供していくことに加え、運用・保守からPDCAサイクルのように次の戦略につなげていく点も特徴だと思います。
従来の運用・保守というと、システムが正常に稼働しているかを確認し、問題発生を未然に防ぐインフラサポートが中心でした。ブルーステラの運用・保守では、アプリケーションレイヤーの運用もサービスメニュー化していく方針です。例えば、AIの予測精度悪化に対応し、精度を維持するための運用を提供します。アプリレイヤーの運用を任せていただくことによって、顧客の次の課題も見えてきます。そこから次の戦略立案に結び付けていけると考えています。
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