今回北米への進出を決定した理由として、木水氏は(1)ファンからの希望、(2)海外における日本のアニメや音楽人気の高まり、の2点を挙げた。
「北米地域では、家庭用ゲーム機ソフトなどで太鼓の達人が親しまれており、ファンからはゲームセンター版を望む声が聞こえてきました。また昨今、海外で日本のアニメや音楽などの人気が高まっている背景もあります。2023年に北米でロケーションテスト(開発途中のゲームを一般公開すること)を実施した際にも、日本のアニメ・ポップス曲が多くプレイされ驚きました」
バンダイナムコグループの中でゲームセンター事業を展開するバンダイナムコアミューズメントは、「体験を通じた感動」「リアルエンターテインメント」を世界中に届けるといった役割を担っている。太鼓の達人(ゲームセンター版)はまるで本物のような大きな太鼓とバチを備え、気軽にフィジカルな体験を提供できることから、以前からマーケット規模が大きい北米地域への展開を検討していたという背景もある。
ゲームセンター版の北米進出に当たっては、バンダイナムコアミューズメントがゲーム機の企画・開発、バンダイナムコグループの現地法人であるBandai Namco Amusement Americaが現地での生産・販売を担当する。
海外展開に当たっては、特に「現地でのゲーム機の準備」が苦労したポイントだという。ゲームセンター版は家庭用ゲームやスマートフォン向けゲームとは異なり、ゲーム機ごと海外に設置する必要がある。「例えば、多くの部品を集めてゲーム機をつくる中で、さまざまな部品が販売終了になっていることがあります。代替品を探す際には太鼓の達人のプレイ体験が極力変わらないよう、何十種類もの部品をテストしました」
さらに海外では、高価なアーケードゲーム機をいかに多くのゲームセンターに設置してもらえるかが課題となる。メーカーからすればゲーム機はある程度まとまった台数を生産する必要がある一方、海外のゲームセンターでは「少数台を設置して、調子が良ければ少し増やす」といった商習慣があって、ギャップがあるという。それをセールスチームと2人3脚でプランを提案することで、設置台数を増やせたという。
そのほか、海外展開に向けた取り組みとして2020年にリリースした「太鼓の達人 ニジイロVer.(通称)」から、メニュー画面が横書きレイアウトに対応。これまで多言語対応で翻訳をする際にネックとなっていた点を解消した。
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「それって人生ゲームみたいなやつ?」 まだまだ知られていない「アナログゲーム」の世界Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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