折りたたみファンブレラ開発のきっかけは、日傘とハンディファンの両方を使っているユーザーがいたことだった。「少しでも涼しくしたいと思っての行動なのでしょうが、日傘とハンディファンで両手がふさがってしまい不便です。ならば日傘とハンディファンを一体化しようと思い付きました」
気軽に持ち運べるようにするため、日傘は折りたたみタイプにする必要があった。そのためファンには3枚羽を採用し、折れないように工夫している。また、安全面に考慮し、羽根が回っている状態で万が一閉じても、自動的に羽根が止まるよう設計した。閉じた状態で電源ボタンを押しても、羽根は回らないという。
持ち手の部分にあるバッテリーとファンをつなぐケーブルにも、ある工夫を施した。「折りたたみ傘なのでシャフト(傘の中心に位置する棒のこと)も伸び縮みできなくてはなりません。そのためシャフトの中に通っているケーブルも伸縮に耐えながら、絡まないようにする必要がありました」(﨏氏)。そこで、ケーブルをらせん状にすることで、自由に伸縮することと絡まないことを両立した。
また、ファンの風が髪を巻き上げ、羽に絡まらないよう目の細かい網を設置。ユーザーの安全性にも配慮した。
﨏氏は「傘は弊社の強みであるEC向きの商品ではない」と話す。傘を購入する際は、使い心地や畳みやすさ、かばんに入るかどうかなど実際に手に取って比べたい消費者が多いからだ。折りたたみファンブレラは同社にとってチャレンジングな商品だったが、連日の猛暑を追い風に生産分が完売するなど好調となった。暑さ対策の定番アイテムである日傘に、「ファン付き」という新しい風が吹くかもしれない。
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